2011 Fiscal Year Annual Research Report
劇症型溶血性レンサ球菌感染症における新規インターフェロンγ産生細胞の機能解析
Project/Area Number |
22790959
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松村 隆之 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (50434379)
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Keywords | 感染症防御学 / 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 / IFN-γ / 未成熟骨髄系細胞 |
Research Abstract |
A群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus:GAS)は、通常上気道粘膜もしくは皮膚表面で局所感染を引き起こすが、劇症型溶血性レンサ球菌感染では急激なショックと菌血症を伴う致死的全身感染となる。劇症型感染臨床分離株において遺伝子発現パターンに変化が認められる一方、発症には宿主要因の関与が示唆されている。しかし、劇症型感染発症と病態に対する炎症メディエーターの関与は不明である。本研究ではまず血中サイトカイン量について検討した結果、ヒト劇症型感染例において種々のサイトカインの中でも血中インターフェロン(IFN)-γ産生量が顕著に増加していることを明らかにした。同様に劇症型感染マウスモデルにおいても、感染早期から血中IFN-γ産生量が増加することが確認された。さらに、抗IFN-γ中和抗体投与マウスは劇症型感染に抵抗性が顕著に減弱することから、IFN-γが劇症型感染における宿主防御因子の一つであると考えられた。これまでGAS感染におけるIFN-7の産生は、GASの産生するスーパー抗原により活性化されたT細胞や種々の感染症においてIFN-rを産生することが知られているNK細胞に依存すると考えられてきたが、申請者らはRAGI欠損マウス(成熟したT細胞やB細胞が欠損しているマウス)を用いた解析や、細胞表面抗原の詳細なフローサイトメトリー解析から、感染初期のIFN-rはT細胞やNK細胞由来ではなく、リング状の核を有する新規未成熟骨髄系細胞(IFN-γ-producing immature myeloid cells;γIMCs)から産生されることを見出した。これらの結果は感染症におけるIFN-r産生は主にT細胞およびNK細胞依存的であるという従来の見解を覆す新発見である。さらにこのγIMCsを養子細胞移入したマウスは劇症型感染に抵抗性を持つことが示され、劇症型溶血性レンサ球菌感染症においてγIMCsが宿主防御的に機能していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上の進展および発見により、英文原著論文がNature Communicationsに受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、好中球減少を伴う劇症型感染において、γIMCsがどのようにして宿主防御的機能を担うのかを明らかにするために、γIMCsが産生するIFN-γ以外の宿主防御因子およびGAS抵抗因子等を探索する。
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