Research Abstract |
Charcot-Marie-Tooth(CMT)病は罹患者が最も頻度の高い遺伝性ニューロパチーである.日本人CMT病では,病因遺伝子が不明な症例が約半数を占めている.病態を明らかにするために,既報の病因遺伝子について,質的,量的変化を調べた. 【対象・方法】対象は臨床的に髄鞘型CMT病227例と軸索型CMT病127例である.PMP22の重複を認めた50症例を除外した症例について,既知の病因遺伝子の質的,量的変化をDHPLC法およびMLPA法用いて検索し,異常が検出されたものは塩基配列を決定した. 【結果】髄鞘型CMT病において,PMP22変異10例,MPZ変異20例,NEFL変異8例,GJB1変異19例,EGR2変異1例,PRXに関しては5例に遺伝子変異を認めた.軸索型CMT病では,MFN2変異14例,GARS変異1例,MPZ変異を5例,GDAP変異1例,GJB1変異を6例検出した.また、2例のdistal HMNでHSP27の変異を認めた.MLPA法により髄鞘型CMT病の3例でPMP22の重複が検出された.FISH法で欠失を認めた1例で,他方PMP22アリルのexon5の欠失認めた. 【考察】CMT1A重複の頻度は23%と高くないことから,日本人CMT1Aの症例は,罹患を自覚せず,医療機関を受診していない可能性がある.MLPA法による量的変化については,PMP22のみで検出し,FISH法では検出不能である小欠失を検出し,感度が高い事を確認した.PMP22重複の認める重症例では,他方のアリルの欠失や変異の複合ヘテロ接合変異を併せ持つ可能性があるので,さらに検索をすすめる必要があると考えた. 【結論】日本人におけるCMT病では、多くの症例について病因遺伝子が特定されておらず、スクリーニング法の改善をはかるとともに、既知および候補遺伝子検索を継続していく必要がある.
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