Research Abstract |
Charcot-Marie-Tooth(CMT)病は罹患者が最も頻度の高い遺伝性ニューロパチーである.私達はCMT病の病態を解明するために,多数の症例を解析してきたが,病因遺伝子が不明な症例が約半数を占めている. 【対象・方法】対象は遺伝子検索依頼があった臨床的に髄鞘型CMT病と考えられた症例227例と軸索型CMT病127例である.17p11.2領域の重複を認めた50症例を除外した症例について,DHPLC法による既知の病因遺伝子スクリーニングとMLPA法用いた既知の病因遺伝子の欠失・重複の検索法を確立し,検索を行った. 【結果】髄鞘型CMT病において,PMP22変異10例,MPZ変異20例,NEFL変異8例,GJB1変異19例,EGR2変異1例,PRXに関しては5例に遺伝子変異を認めた.111例(48.9%)は病因が不明であった,軸索型CMT病では,MFN2変異14例,GARS変異1例,MPZ変異を5例,GDAPI変異1例,GJB1変異を6例検出した.100例(78.7%)は病因が不明であった.また、2例のdistal HMNでHSP27の変異を認めた.MLPA法により髄鞘型CMT病の3例でPMP22の重複が検出された.FISH法で欠失を認めた1例で,他方PMP22アリルの部分欠失認めた. 【考察】私達の結果では,CMTIA重複の頻度は23%と高くないことから,日本人CMTIAの症例は,罹患を自覚せず,医療機関を受診していない可能性が考えられる.MLPA法による量的変化については,PMP22のみで検出された.しかしながら,FISII法では検出不能である小欠失の検出に有用であった,PMP22の重複または欠失を認めた症例においても,重症例に関しては,点変異,微小欠失等を合併する可能性があるので,さらに検索をすすめる必要があると考えられた. 【結論】日本人におけるCMT病では、多くの症例について病因遺伝子が特定されておらず、スクリーニング法の改善をはかるとともに、既知および候補遺伝了・検索を継続していく必要がある.
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