2011 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病急性期における自然免疫応答による炎症の制御機構の解明
Project/Area Number |
22790969
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齋藤 和由 富山大学, 大学病院, 助教 (30566097)
|
Keywords | 川崎病 / マイクロRNA / 血管炎 / VEGF-A / miR-93 |
Research Abstract |
【仮定と目的】我々は川崎病の急性期において、その発症や血管病変の進展にmiRが重要な役割を担っていると仮定し、急性期川崎病に関与するmiRを明らかにし、messengerRNA(mRNA)との関連を検討することにした。 【対象と方法】我々は急性期川崎病患者4名、川崎病以外の熱性疾患患者(ウイルスまたは細菌感染症)6名および年齢、性別を合わせた健常対照群6名から末梢血単核球細胞を分離し、mRNAおよびmiRのmicroarrayを施行した。川崎病患者はすべて標準治療に反応した患者とし、治療前、治療開始後2-4日および7-10日に全血4mlを採取した。データはGeneSpring GX 11. softwareおよびIngenuity Pathways Analysis toolsを用いて解析した。 【結果】1)miRに関して:全847miRのうち、川崎病に特異的と考えられるmiRは以下の5種あり、治療前、コントロールと比較して、miR-93,miR-877は発現が有意に低下、miR-92b,miR-182,miR-296-5pは発現が有意に亢進していた。治療後、これら5種のmiRの発現はすべて正常化した。 2)miRとmRNAの関係:川崎病特異的に変化した5種のmiRとの関連が報告されている、治療前後で有意に変化したmRNAは12種であった。これらのうち、miR-93によって制御されていると報告のあるVEGFAの発現も治療によって正常化した。miR-93とVEGFAの発現を調べると強い負の相関を認めた(R^2=0.9683)。 【結論】川崎病急性期における流血中の人末梢血単核球細胞におけるmiRの変化の同定を試みたところ、川崎病に特異性が高いと考えられる5種のmiR(miR-93、miR-877、miR-92b、miR-182、miR-296-5p)が同定された。miR-93はVEGFAの発現を調節し、川崎病冠動脈病変における重要なシグナル伝達系を担っている可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)