2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790970
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安冨 素子 福井大学, 医学部, 助教 (80554526)
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Keywords | 食物アレルギー / 免疫学 / オートファジー / 経口免疫寛容 |
Research Abstract |
「具体的内容」オートファジーとは細胞構成成分を食胞に閉じ込めてライソゾームへ運搬し分解する機能で、細胞の恒常性維持に重要であるが、胸腺における自己免疫寛容の誘導に必要であることや、オートファジー関連遺伝子の変異とクローン病との関連が報告されており、オートファジー機能が腸管免疫応答にも役割を果たしていることが推測される。そこで我々は、食物アレルギーの原因として小児で頻度が高い卵白成分Ovalbumin(OVA)を抗原とする食物アレルギーマウスモデルを用いて、オートファジー機能を修飾する因子(mTOR阻害剤やPI3K阻害剤など)が食物アレルギー症状、腸管免疫応答に及ぼす影響を検討した。この実験系はOVAとAlumを腹腔内に投与し、OVAを経口投与すると2時間以内に低体温、下痢症状をきたし、重篤な場合には死亡する即時型の食物アレルギーモデルである。これまでの研究成果では、OVAを腹腔内感作されたマウスにOVAを経口投与する際、オートファジーを増強するmTOR阻害剤を併用するとパイエル板リンパ球のin vitroでのOVA刺激によるIL-4/IFN-γ/IL-10産生は増強していた。そこでOVA感作マウスにOVAを経口投与する際、オートファジー抑制作用を持つPI3K阻害剤を併用すると、本来アレルギー症状が強く発現するはずのOVA特異的IgEが高値のマウスにおいても食物アレルギー症状(下痢/低体温)の軽減がみられた。またPI3K阻害剤併用マウスにおいて、大腸でのLC3 I、IIの発現比率は変化しており、上記マウスにおいてオートファジー機能を抑制していることが示唆された。「研究の意義、重要性」食物アレルギーは近年増加しており、学童期での除去食継続など患者・家族に対する負担は大きい。本研究は感作成立後の症状抑制が期待できるモデルであり、既に発症した患児にも治療応用が可能であると考えられる。また本研究の結果により食物アレルギーモデルにおいてオートファジー機能が何らかの役割を果たしていることが示唆され、病因究明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初mTOR阻害剤で食物アレルギー症状は抑制されるのではないかと推測されたが、逆にアレルギー症状が増強されることが示唆され、治療応用を目指すために、PI3K阻害剤に変更し、実験系を組みなおしたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
PI3K阻害剤がどの細胞に作用しているのか、を解明するためにwestern blottingや免疫染色の手法を用いて解析する。またアレルギー症状の抑制機序としてTh1/Th2バランスに対する影響なのか、抑制系に働く制御性T細胞が誘導されているのかを解析する予定である。
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Research Products
(8 results)