2011 Fiscal Year Annual Research Report
CGHアレイを用いたダウン症関連急性巨核芽球性白血病の発がんメカニズムの解明
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22790974
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
濱 麻人 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (30566964)
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Keywords | 急性巨核芽球性白血病 / ダウン症候群 / 一過性異常骨髄増殖症 / 染色体異常 / CGHアレイ / SNPアレイ / 小児 / GATA1 |
Research Abstract |
ダウン症(DS)児においては、約10%が新生児期に一過性異常骨髄増殖症(TAM)を発症し、一旦は自然軽快するものの、その約20%が4歳までに急性巨核芽球性白血病(AMKL)を発症する。TAMの発症の段階でGATA1遺伝子変異が関与することは明らかになっているが、さらにAMKLの発症に関与する遺伝子はいまだ明らかになっていない。また、non-DS-AMKLの発症のメカニズムについても明らかになっていない。本研究ではCGHアレイを行うことでTAMとDS-AMKLの違いを染色体レベルで明らかにし、染色体異常の集中する部位から候補遺伝子を抽出し、AMKLへの進展に関わる遺伝子変異を同定することを目的とする。 AMKLの発症に関与する遺伝子を同定するために、今年度はSNPアレイを用いて候補遺伝子を絞り込み、いくつかの候補遺伝子について遺伝子解析を試みた。DS-AMKL11例、non-DS-AMKL 12例についてSNPアレイを行った。Somatic gainはDS-AMKLで7例、non-DS-AMKLで7例みられた。特にDS-AMKLにおいてのみ、4例で1q gainがみられ、DS-AMKLの発症に関与している可能性が示唆された。Somatic deletionはDS-AMKLの8例Inon-DS-AMKLの5例でみられた。がん抑制遺伝子の一つであるp53が位置する17pの欠失が2例みられ、直接シークエンス法を用いて解析したところ、そのうちのDS-AMKLの1例でp53変異が確認された。Uniparental disomy(UPD)はDS-AMKLの1例で3qと7pの2箇所にみられたのみであり、その頻度は低いと考えられた。遺伝子解析結果は以下のとおりである。GATA1変異=DS-AMKL(11/12)、non-DS-AMKL(1/12)。JAK3、JAK2、TP53変異がDS-AMKLの同一症例で見つかった。IDH1/2、DNMT3A、RUNX1およびCBL変異は見つからなかった。NRAS変異がnon-DS-AMKL.の2例で見つかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダウン症関連急性巨核芽球性白血病11例に対してSNPアレイを施行することにより、ダウン症非関連急性巨核球芽球性白血病と比較して有意に1番染色体長腕の重複がみられることが明らかになったため。またいくつかの候補遺伝子の解析が終了しているため。また、ここまでの内容で論文が一編作成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ダウン症関連急性巨核球芽球性白血病11例に対してSNPアレイを施行することにより、ダウン症非関連急性巨核芽球性白血病と比較して有意に1番染色体長腕の重複がみられることが明らかになった。今後は1番染色体長腕上のどの遺伝子が白血病の発症に関与しているのかを次世代シークエンスを用いることで明らかにしていく予定である。
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