2011 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞による心筋細胞治療の基盤研究と疾患特異的iPS細胞を用いた心機能解析
Project/Area Number |
22790978
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鷄内 伸二 京都大学, 医学研究科, 助教 (20553192)
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Keywords | iPS細胞 / Cdk9 / GATA4 / trichostatin A / Duchenne / muscular dystrophy / QT延長 / p300 |
Research Abstract |
1.我々が同定した73個のGATA4結合パートナーの中で転写伸長因子であるcyclin dependent kinase 9(Cdk9)に着目した。マウスES細胞を用いた心筋分化系においてCdk9はGATA4、RNA pol II、p300と複合体を形成し心筋特異的遺伝子の転写伸長反応に関与した。Cdk9によるp300リン酸化、活性化p300によるGATA4のアセチル化、アセチル化GATA4のDNA結合能の上昇が心筋分化を促進することが明らかとなった。次に多種マウスiPS細胞株とES細胞株を用いて、その心筋分化効率を比較し、心筋の初期分化に関わる重要な因子をスクリーニングし、さらにHDAC阻害剤トリコスタチンA(TSA)の心筋分化に与える影響を検討した。その結果、心筋分化初期においてOct3/4の発現レベルや核内HDAC4発現レベルが心筋の初期分化を制御する事が明らかとなった。またTSAはすべての細胞株で心筋分化を促進させた。そのメカニズムの一つとしてHDAC4を核外輸送しHDAC4による心筋特異的転写因子の抑制を解除することを明らかにした。 2.ヒトiPS細胞については、Duchenne型筋ジストロフィー患者より5株、コントロールとして父親から3株、母親から2株のiPS細胞を作成した。作成方法は高橋、山中らが2007年のCellに発表した方法を用いた。いずれのiPS細胞株もマイトマイシンC処理したFeeder細胞状で未分化な形態を保持し、増殖培養が可能であった。また、qPCRを用いた結果ではいずれの細胞株においてもExogenous GeneのSilencingが見られた。現在これらのiPS細胞株に対して染色体異常の有無、未分化マーカーの発現レベル、in vitroでの三胚葉分化、in vivoでのテラトーマ形成について評価中である。これらの評価終了後に今後の研究使用に適した細胞株を選別し、マウスES細胞で行なったTSAを用いた心筋分化方法を試す予定である。QT延長症候群患者のiPS細胞については現在適した患者のリクルート中である。
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