2011 Fiscal Year Annual Research Report
成長におけるIGF-I作用の新たな役割:ALSおよびIGF-I受容体の機能解析
Project/Area Number |
22790982
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鞁嶋 有紀 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (20403412)
|
Keywords | 小児科学 / 小児内分泌学 |
Research Abstract |
Acid Labile Subunit (ALS)およびIGF-Iの受容体である1型IGF-I受容体(IGF1R)の遺伝子解析を基盤において、原因不明の低身長児,特にIUGRに伴う低身長児を対象にIGF1Rの遺伝子解析を、またIGF-I低値を示しながらもGH分泌低下のない低身長児にALSの遺伝子解析を行い,ALSおよびIGF1Rの異常に起因する成長障害を明らかにすることを目的とし、研究を遂行した。ALS遺伝子異常については同定できなかったが、1例のIUGR性低身長児にGln1220Xのヘテロの変異を同定した。ストップコドンであるため、遺伝子異常症と考えられるが、現在この変異における機能解析を進めている(現在未だ終了していない)。またこの症例は成長ホルモンの治療を受けていたが、治療に対し、抵抗性を示しており、今回の発見で喚起できるものがあると考えられる。この他にも7例の遺伝子解析を行ったが遺伝子異常は同定できなかった。 また、前年度報告したように、すでにIUGR性低身長児に同定していた新規のIGF1R遺伝子異常のヘテロのミスセンス変異(D1105E)の機能解析では、変異IGF-IRではIGF-I受容体の自己リン酸化が障害され、機能低下を起こしていること、さらに、この変異IGF-IRと正常IGF-IR遺伝子を同時にR-細胞に発現させ、IGF-I刺激を行い、ドミナントネガティブ作用があることが前年度の成果にて判明したが、この家系には耐糖能異常があり、またIGF1Rは生体内ではinsulin receptor (IR)と4量体を形成することが知られているため、変異IGF1Rのinsulin receptorへのドミナントネガティブ作用もある可能性があり、これについて検討した。CHO細胞に正常のIGF1Rまたは正常のIR遺伝子を発現させ、これらの細胞に変異IGF1Rを容量依存的に導入し、IGF-1またはinsulin刺激を行ったところ、IGF1Rに対してはドミナントネガティブが明らかであったが、IRに対してはドミナントネガティブ作用がみられず、この変異は、IGF1Rのみにドミナントネガティブ作用があることが判明した。従って、この変異をもっている患者には、変異IGF1RによるIRの機能低下はないと考えられる。また。患者は現在SGA性低身長として成長ホルモン(GH)治療を行っており、GHには耐糖能異常の副作用が知られているため、本結果はその意味でも意義部会と思われる。また、潜在的にGH治療を受けているSGA性低身長の中には、IGF1R遺伝子異常症が存在する可能性があるため、この結果はその意味でも大変重要な結果と思われる。
|
Research Products
(5 results)