2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本における細胞内寄生菌易感染症例の臨床的特徴および遺伝的背景
Project/Area Number |
22790987
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
保科 隆之 九州大学, 大学病院, 特任助教 (30398078)
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Keywords | 感染症 / 免疫学 / 遺伝子 / 細胞内寄生菌 / 宿主要因 |
Research Abstract |
本研究では、抗酸菌、サルモネラなどの細胞内寄生菌に易感染性を示すMendelian susceptibility to mycobacterial disease(MSMD)のわが国における臨床的特徴および遺伝的背景を明らかにするとともに、既知の遺伝子異常を認めない症例において、関与が疑われる遺伝子の解析を行い、MSMDのさらなる病態解明を進めることを目的とした。 今年度は、MSMD症例の集積を行い、それらの起炎菌や罹患部位などの臨床的情報を集積とこの疾患で既に報告されている遺伝子(IFN-γR1、IFN-γR2、IL-12p40、IL-12Rβ1、STAT-1およびNEMO)の解析を行った。46症例のうち6症例がIFN-γR1異常症、1症例がIL-12Rβ1異常症そして1症例がNEMO異常症と診断された。これらの症例は、遺伝子異常を認めなかった症例と比較して、抗酸菌の反復感染を起こし、また、骨髄炎症例では病変が多発しているなど、有意に重症例が多いことが判明した。 遺伝子異常の早期スクリーニング法として、フローサイトメトリーを用いた単球およびT細胞表面の受容体発現の解析やLPS刺激による単球からのTNF-α産生能解析を行った。 IFN-γR1異常症と診断された全症例では、単球表面でのIFN-γR1が高発現していた。また、IL12-Rβ1異常症例では、T細胞表面でのIL-12-Rβ1の発現が低下していた。さらに、NEMO異常症例ではLPS刺激による単球からのTNF-αの産生が著しく低下していた。このように、遺伝子異常の早期スクリーニング法として、フローサイトメトリーを用いた解析が有用であることが示唆された。
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