2011 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームの翻訳異常と造血機構の破綻:ゼブラフィッシュを用いた解析
Project/Area Number |
22790989
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上地 珠代 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (10381104)
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Keywords | リボソームタンパク質 / ゼブラフィッシュ / ダイヤモンド・ブラックファン貧血 / 造血異常 / モルフォリノアンチセンスオリゴ / 翻訳異常 / 赤芽球 / リボソーム病 |
Research Abstract |
先天性の赤芽球形成不全であるダイヤモンド・ブラックファン貧血(DBA)では、患者の約25%でリボソームタンパク質(RP)S19遺伝子が変異している。しかし、その発症機序が未知であるため、ゼブラフィッシュのオーソログrps19遺伝子の発現を抑制してDBAモデルを作製し、特定のmRNAに対するリボソームの翻訳効率の変化について解析した。 1)ポリソームを形成するmRNAを用いたマイクロアレイ解析:アンチセンスオリゴでrps19の発現を抑制したDBAモデル約200匹から、ショ糖密度勾配遠心法によりポリソーム(リボソームとmRNAの複合体)を分画した。この画分からmRNAを精製し、逆転写によって合成したcDNAをビオチン標識して、マイクロアレイ上のプローブとハイブリダイズさせて発現強度を解析した。コントロール(ミスマッチアンチセンスオリゴを注入した)胚についても同様の解析を行った。また、DBA遺伝子の一つであるrpl11の発現抑制胚を用いてポリソームパターンを解析した結果、rps19抑制胚と同様に、ポリソーム形成にほとんど変化は見られなかった。 2)翻訳効率が変動する遺伝子の抽出:コントロールと比較して翻訳される頻度が増減する遺伝子を抽出した。RPS19タンパク質の欠損と、赤血球造血に関与するいくつかの遺伝子の翻訳効率の変動との関連が示唆された。また、全mRNAを用いたアレイ解析の結果と比べると、mRNAの発現量と翻訳量は必ずしも一致しないことも示唆された。
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