2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性移植片対宿主病分子マーカーCCL8の分子機能解析
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22790990
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山本 雅樹 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80404664)
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Keywords | 移植片対宿主病 / バイオマーカー / ケモカイン / 造血幹細胞移植 / マウスモデル |
Research Abstract |
1.In vitroでのCCL8産生細胞同定 Balb/cマウス由来樹状細胞とC57BL/6マウス由来脾臓細胞の白血球混合培養により、in vitroCCL8発現系を確立した。マグネットビーズにより細胞を選択し共培養を行い、培養上清中のCCL8濃度を指標に比較検討した結果、Balb/cマウス由来樹状細胞とドナーC57BL/6マウス由来CD4陽性T細胞のみでCCL8タンパクは発現し、MHC classIIをブロックすることでCCL8の発現は低下した。CCL8に先行して発現するサイトカインはIL-2,IFN-γ,TNF-α,であり同種抗原刺激とともにCCL8発現を誘導すると考えられた。また、in vitro CCL8発現系から細胞を回収し,蛍光免疫染色を行うことによりin vitroにおけるCCL8発現細胞を同定した。その結果MHCの異なるCD4陽性T細胞の刺激を受けた同種樹状細胞がCCL8を産生していることが明らかとなった。今後GVHD病態においてCCL8に対応するレセプターやin vivoでのCCL8産生細胞が明らかになればGVHDに対する分子標的療法が開発できる可能性がある。 2.重症GVHDマウスの生存率とシクロスポリン予防措置に関する検討 重症GVHDマウスにおける移植後5日目の血漿中CCL8濃度は移植後14日目の臨床的、病理学的GVHDスコアと正の相関関係にあり、移植後5日目のCCL8濃度が高値(>2,000ng/mL)を示す群では移植後28日目の生存率が有意に低いことが明らかとなった。重症GVHDマウスモデルにおいて、シクロスポリン投与による予防の有無での生存率を比較検討したところシクロスポリン予防投与を行うことにより、致死的な重症GVHDマウスにおいても移植後5日目の血漿中CCL8濃度は2000ng/mL以下に低下し、シクロスポリンAによる予防を行わなかった群と比較して有意に生存率が向上した。これにより移植後5日目のCCL8濃度(カットオフ値2,000ng/mL)、シクロスポリン予防はGVHDマウスの予後と密接に関係することが明らかになった。
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