2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白尿制御機構としての糸球体上皮細胞極性制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
22790991
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張田 豊 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10451866)
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Keywords | 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / Nephrin / 細胞極性 / aPKC |
Research Abstract |
(1)PAR-aPKC複合体によるスリット膜複合体シグナルの制御機構の解析 糸球体上皮細胞の接着装置であるスリット膜の構造、およびその下流のシグナル伝達系に対してPAR-aPKCシステムがどのような役割を持つのかについて検討した。まず単離糸球体を用いた実験により、スリット膜蛋白質がエンドサイトーシスとエクソサイトーシスを非常に早いスピートで行っており、ターンオーバーしていることを突き止めた。この系にPAR-aPKCシステムを抑制する実験により、PAR-aPKCの活性がスリット膜蛋白質の膜発現を制御し、特にスリット膜蛋白質のエクロサイトーシスに関わることを明らかにした。この成果はスリット膜を形成、維持するメカニズムの一端を明らかにするものである。 (III)ネフローゼ症候群発症におけるPAR-aPKC複合体による細胞内シグナルの意義の解析 aPKCがスリット膜の維持に深く関わることが明らかになったことから、糸球体上皮細胞特異的aPKCノックアウトマウスを用い、その糸球体においてPAR3やaPKCの発現、Nephrinの発現を免疫染色および免疫電顕で評価した。このノックアウトマウスは生直後より大量の蛋白尿を来す。染色および生体内で膜表面ラベルしたサンプルを用いた解析により、このマウスではNephrinの発現が細胞膜から乖離し、細胞質内にとどまっていることを明らかにした。この結果は、in vivoにおいてもaPKCの機能不全がスリット膜複合体の膜輸送を阻害し、蛋白尿を来す事を示唆する。スリット膜構造を維持し、蛋白尿発症を防ぐためにaPKC活性が必要なことが明らかになった。
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