2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロトロフィン受容体が伝達する多様なシグナルの大脳皮質発達における意義
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22790992
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (00308280)
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Keywords | 大脳皮質 / ニューロトロフィン / 神経回路 / 発達障害 / 神経疾患 / シナプス / p75^<LNTR> / 神経分化 |
Research Abstract |
申請者らは神経細胞の発生、分化、成熟に重要な役割を果たすニューロトロフィン(NTs)ファミリー神経栄養因子の大脳皮質発達における生物学的意義を明らかにすることにより、高次脳機能の発達および発達障害の病態解明のための基礎知見を得ることを目指している。 特に、本研究ではp75^<LNTR>の媒介するシグナルのうち、古典的なNTsシグナル以外の2つのシグナル(シグナル(1):ソーチリンとp75^<LNTR>複合型受容体にNT前駆体(pro-NT)が結合して伝達、シグナル(2):Nogo受容体、Lingo-1およびp75^<LNTR>複合型受容体にNogoやMAGなどが結合して伝達)に絞って研究を展開している。 まず、シグナル(1)、(2)の構成因子(full)およびその細胞内ドメイン欠損型(dC)の発現ベクターを構築し、遺伝子発現をCOS細胞を用いて確認した。次に、古典的NTsシグナル経路に及ぼすソーチリンの関与を調べるために、PC12細胞にp75^<LNTR>-fullをソーチリン-fullあるいは-dCと同時に発現させ、p75^<LNTR>の細胞内分布、NTsによる神経突起の伸長誘導活性に及ぼす影響を調べた。p75^<LNTR>-dCではNGFに対する神経突起伸長活性の抑制が観察されたが、ソーチリン-fullあるいは-dCを発現させても、p75^<LNTR>-fullの分布および神経伸長には影響が無かった。 また、それぞれの遺伝子およびGFPを発現するベクターを子宮内エレクトロポレーション法により、大脳皮質前駆細胞に導入し、大脳皮質神経細胞の神経投射が完了する生後15日に達した時点で、GFP陽性細胞の分布およびその神経線維の投射パターンを調べた。p75^<LNTR>発現ベクターを導入した神経細胞は機能増強型、機能欠損型、いずれの場合もその定着位置に大きな違いは認められなかった。しかし、遺伝子を導入された神経細胞の樹状突起の形態、軸策分化に影響が認められたため、その詳細を免疫染色法により解析中である。
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Research Products
(4 results)