2011 Fiscal Year Annual Research Report
phox2b遺伝子恒常的活性化による神経芽腫の分化障害の機能解明
Project/Area Number |
22790994
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (10572547)
|
Keywords | 神経芽腫 / phox2b / NOTCH |
Research Abstract |
我々は、ヒト神経芽腫(NB)の分化障害と、神経分化関連転写因子phox2b高発現の関係について検討を行っている。NB細胞株を用いて、神経分化関連転写因子の発現についてreal-time PCR法、免疫染色法で検討したところ、NB細胞株(N type cell)は本来神経分化の際に一過性に発現する、phox2b、ASCL1遺伝子の高発現が維持されていること確認できた。NB腫瘍より抽出したmRNAを用いてphox2b発現について現在検討を行ったところ、Ganglioneuromaに対してより未分化なNeuroblastoma細胞でphox2b発現が有意に高発現していた。 NB細胞株にレチノイン酸(ATRA)を投与し分化誘導を行ったところ、ATRA投与開始2時間後より、ASCL1の、6時間後ごろよりphox2bの著しい発現抑制が見られたのち、神経突起を延長させ分化が誘導された。 NB細胞株にNotch阻害剤であるγセクレターゼを投与したところ、HES1遺伝子の発現抑制、ASCLI遺伝子の発現抑制と、神経突起の伸長と分化誘導が認められた。 NBの分化障害におけるNotch経路の関連を詳細に分析するため、Notch遺伝子の細胞内ドメインを強制発現させ、Notch経路を恒常的に活性化させたNBクローンの作成を試みた。Notch遺伝子の細胞内ドメインをクローニングし、レンチウイルスベクターに導入した。また、レンチウイルス発現システムによるNB細胞株へのNotch細胞内ドメイン強制発現株を作成した。さらに、phox2b shRNAをレンチウイルスベクターにクローニングすることに成功した。さらに、これを神経芽腫細胞株に発現させ、90%異常の遺伝子発現抑制効果を確認した。現在、これらの細胞株を用いて、ATRAによる分化誘導、γセクレターゼによる分化誘導について検討を行う。 また、phox2b shRNAを作成し、レンチウイルスベクターに導入した。このベクターを用いて、phox2b遺伝子の発現抑制株を用いて、NB細胞分化について観察している。 本研究の現在までの結果により、NBの分化障害の原因として、phox2b、ASCL1遺伝子の高発現維持の可能性が強く推測された。この機序をさらに解明することにより、今後新たな分化誘導療法に対するアプローチを与えることが可能になると期待される。
|
Research Products
(2 results)