2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉性障害の病態に関与する候補遺伝子群の網羅的遺伝子発現解析
Project/Area Number |
22790996
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中島 尚美 自治医科大学, 医学部, 講師 (20337330)
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Keywords | 自閉性障害 / シナプス機能関連 / CGH法 / CNV |
Research Abstract |
自閉性障害(ASD)の病因として、de novoの染色体コピー数多型(CNV)が多く検出され、その領域にシナプス関連遺伝子などの神経系で機能する遺伝子が多く局在しており、また、病因遺伝子として、シナプス結合に関与する遺伝子の変異が報告されている。 我々の研究室では、自閉性障害の病因、病態解明研究としてCNV解析を行ってきた結果、複数のCNVを検出しており、それらのCNV領域上の遺伝子とASDの関連を解明することが必須である。 本年度も、CNV解析の継続と、CNV上の遺伝子とASDとの関連を解析した。 (1)11q24に局在するシナプス関連遺伝子の変異解析 ASD患者1例に検出された11q24の微小重複領域に局在するJAM3についてASD患者300名で変異解析したが、変異は検出されなかった。JAM3が常染色体劣性の脳形成異常、白内障を伴う疾患の病因であることが報告されたこともあり、ASDとの関連は否定的である。 (2)CNV解析 Agilent社HumanCGHアレイ(180Kx4)を用いたアレーCGH解析をASD患者52名に実施し、10例に疾患との関連性が示唆されるCNVを検出した。CNV領域に局在し、病因と考えられた遺伝子の1つはASDの病因と報告されているSHANK3の欠失で、1例はMAOA、MAOBの欠失であった。それら以外の遺伝子として、細胞接着に関連する遺伝子とチャネル遺伝子が各1例、脳での作用が不明な遺伝子が2例であった。他の4例は、CNV領域に複数の候補遺伝子が含まれ、病因遺伝子がどれか検討中である。 病因と考えられた遺伝子について、他の患者での塩基置換の有無の解析と、機能解析を実施中であり、ASDとの関連を確定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ASDの病因であると推定した患者で検出されたCNV領域に局在するJAM3がASDの病因であることが否定的となったため。 しかし、CNV解析は進行しており、新たな未報告の候補遺伝子が検出されている。
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Strategy for Future Research Activity |
ASD患者で検出されたCNV領域の候補遺伝子について、他の患者での塩基置換の有無や培養細胞等を用いて機能解析を行い、ASDの病因であることを解明する。一部の遺伝子は、疾患との関連がない可能性もあるが、候補遺伝子は複数有り、それらの中から新たな病因遺伝子が同定されると期待される。 また、CNV解析を継続し、さらに候補遺伝子を検出していく。
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