2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫におけるNLRR1のシグナル伝達制御機構の解明と分子標的治療法の開発
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22791016
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
高取 敦志 千葉県がんセンター(研究所), 小児がん研究センター, 研究員 (40455390)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / NLRR / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本研究では、神経芽腫関連遺伝子であるNLRR1がEGFやIGFによるシグナル伝達を増強し細胞増殖を増加させるメカニズムを明らかにし、それを標的とした新規治療法の開発を大きな目的としている。これまでに、NLRR1が細胞膜の脂質ラフト分画に存在し、NLRR1の機能にはこの脂質ラフトの構造が必要であることがわかってきた。また、NLRR1によるbFGFやPDGFに対する増強効果は認められなかったことから、NLRR1は主な増殖シグナルであるEGFやIGFを選択的に制御することが示唆されてきている。本年度では、GFP標識したNLRR1を細胞で発現させ、脂質ラフトマーカーである膜ガングリオシドGM1に結合するコレラトキシンサブユニットBを用いて解析を行ったところ、NLRR1が脂質ラフトに局在することが視覚的にも確認された。また、細胞増殖効果を抑制するNLRR1抗体のスクリーニングを試みた結果、その候補クローンが得られた。今後、部分欠損型発現ベクターを利用した抗体認識エピトープの検索や抗体の可変領域のうち相補性決定領域についてその遺伝子配列の検討を行っていくことにより、NLRR1抗体の性状を明らかにする。 一方、これまでに作出したNLRR1ノックアウトマウスに関して、ノックアウトマウスは低体重であり、そのマウス胎仔線維芽細胞の増殖能は著しく減少することが分かってきている。本年度では神経細胞初代培養を行い、神経細胞においてもNLRR1欠損により増殖シグナルが影響を受けることが示された。ただ、その表現型のため、成体における影響を検討するための個体数が確保できていないことから、今後は個体数を増やして成体における表現型解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NLRR1の機能解析は順調に進んでおり、抗体のスクリーニングの結果、候補となるクローンも得られていることから、順調に進んでいると考えられる。ノックアウトマウスの発生・発達期における表現型についても進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もNLRR1の機能の詳細な解析、およびNLRR1抗体の性状の解析をさらに進めていく。 ノックアウトマウスの表現型解析において、その表現型のために成体における解析が困難となっているが、個体数を確保できれば進めることができると考えている。
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Research Products
(3 results)