2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人プラダーウィリー症候群患者における病因構成比率の変化とその原因
Project/Area Number |
22791022
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Research Institution | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
Principal Investigator |
松原 圭子 (独)国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 共同研究員 (90542952)
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Keywords | 遺伝学 / 先天異常 / Prader-Willi症候群 / 高齢出産 / トリソミーレスキュー / 生殖補助医療 |
Research Abstract |
本研究計画では以下の4点を研究計画に掲げ、平成23年度では(2)と(4)を行った。 (1)PWS発症原因解析、(2)PWSにおける表現型-遺伝型の関連の解析、(3)PWS病因構成比率の変化の統計学的解析、(4)生殖補助医療とPWS発症の因果関係の解明 (2)成長ホルモン分泌動態と精神神経症状に関する表現型-遺伝型解析を行った。成長ホルモン分泌に関しては、欠失群(n=63)と、UPD(n=22)における成長ホルモン分泌動態の比較検討を行い、UPD群でインスリン刺激後のGH頂値が低値であり、またUPD群でインスリン刺激後およびアルギニン刺激後ともにGH分泌不全基準(<6ng/ml)を満たすものの割合が多いことが判明した。GH治療の反応性は、欠失とUPD全体では同等であったが、GHDの基準を満たす群では、UPD群の方がGH使用開始1年後の身長の伸びは良かった。また、精神神経症状については、UPDのほうが欠失よりもIQが低く、広汎性発達障害特性が高い傾向があり、母親のQOLも低いことが明らかとなった。 (4)生殖補助医療および非配偶者間人工授精、排卵誘発剤のみの使用による出生児14名を含むPWS142名を対象に分子遺伝学的解析を行い、不妊治療とPWS発症の因果関係につき検討を行った。不妊治療により出生した児の頻度は、一般集団に比し、PWS患者群で有意に高頻度であり、このことは不妊治療およびその関連因子(不妊体質、高齢出産など)がPWS発症に影響を及ぼす可能性を示唆する。また、第一減数分裂不分離後のtrisomy rescueを介したupd(15)mat(TR/GC[M1])患者の割合は、自然妊娠群に比し、不妊治療群において有意に高値であった。しかし、母親年齢適合集団における解析では、TR/GC[M1]の頻度に有意差は認められなかった。 本研究により、PWS患者において高頻度に不妊治療による出生児が認められ、この要因として、高齢出産、父親年齢の上昇、不妊の原因そのものなどが関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(10 results)