2011 Fiscal Year Annual Research Report
G-CSFの幹細胞血液中動員作用による慢性肺疾患治療の為の基礎的検討
Project/Area Number |
22791037
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北東 功 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00296625)
|
Keywords | 慢性肺疾患 / G-CSF / 造血幹細胞 / 再生医学 |
Research Abstract |
(目的)新生児の慢性肺疾患は人工呼吸管理の長期化、在宅酸素療法への移行など患者への負担が大きくなり、更には肺高血圧を合併し死亡するリスクも高くなる事が知られている。現在のところ有効な治療はなく対症療法を行っているた過ぎない。多能性造血幹細胞は肺2型上皮細胞、血管内皮細胞に分化することが知られており、再生医療への応用が期待されている。G-CSFは造血幹細胞を血液中に増加させる事が知られている。本研究はG-CSFの幹細胞動員作用を利用して、慢性肺疾患への治療に応用できるかどうかを検討するものである。(方法)新生仔マウスを80%酸素または室内気下で21日間飼育、その後室内気での飼育に変更と同時にG-CSF0.5μg/g(BW)x5日間投与した。対照として生理食塩水を投与した。観察期間終了後、気管支肺胞洗浄、または拡張固定、HE染色・各種免疫染色を行った。(結果)前年度に行った肺組織(G-CSF投与後21日後の肺)をmorphometric解析したところ、G-CSF投与群で有意に気腫状変化が改善していた。この変化がG-CSFの抗炎症作用によるものかを検討するため、G-CSF投与終了2日目の肺を観察した。肺の組織所見上有意な変化は認められなかった。また投与終了後2日目に気管支肺胞洗浄を行い、回収された洗浄液の細胞数、細胞種を解析したところ、酸素投与群は室内気群に比し有意に細胞数の増加が認められた。酸素投与群において、G-CSF投与群と生理食塩水投与群間で細胞数、細胞種の有意差は認められなかった。(考察)G-CSFは炎症を惹起する可能性があることが示唆されていたが、炎症性サイトカインの上昇については検討中であるが、細胞浸潤を伴う強い炎症が起こっていることは否定的であると考えられた。今後、CD34陽性骨髄幹細胞の肺組織中へのリクルートの有無、肺2型上皮細胞数の変化、サーファクタント蛋白の産生の変化について検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高濃度酸素投与により、新生仔マウスの死亡が多いこと、生存したマウスの大きさが小さく、肺も炎症を起こしていることから脆弱であり、検体の採取が困難である。必要検体数の確保に時間を要している状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
予想された結果が得られていることから、更に検体数の確保のため酸素投与実験を行う予定である。 得られた検体を利用し、下記の検討を行い、G-CSFの作用の解明を計る予定である。 (1)採取した肺組織を用いて造血幹細胞の肺への進入状況や、2型上皮細胞数の変化について今後検討を行う。 (2)採取した肺胞洗浄液を用いて炎症性サイトカインの発現の解析を行う。
|