2011 Fiscal Year Annual Research Report
静脈管や臍帯動脈が酸素を感受して収縮弛緩する機序、小胞体とRhoキナーゼの役割
Project/Area Number |
22791040
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
竹内 大二 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40328456)
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Keywords | 臍帯動脈 / 静脈管 / 酸素 / Rho kinase / Ca |
Research Abstract |
臍帯動脈は酸素供給需要にあわせて収縮弛緩する。静脈管は生後血中の酸素濃度上昇に伴い収縮し閉鎖する。本研究の目的は、臍帯動脈や静脈管が酸素濃度の変化に応じて収縮弛緩する機序を解明することである。 本年度は、胎生21,27,30日の胎仔家兎の静脈管と体内外の臍帯動静脈について、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法を用いて、特異的なタンパク質を網羅的に探索し、質量分析法により帰属した。 結果:臍帯動静脈の未熟期に高発現する7タンパク質を帰属した。分子量の大きい順にヒートショックプロテイン(HSP)90β、HSP90α、HSP70(GRP78)、プロテインイソメラーゼ(PDI)前駆体、PDIA3前駆体、HSP47、PDIA6であった。いずれもタンパク質の正しいおりたたみ構造の獲得を助けるシャペロン機能を持つタンパク質であった。また、臍帯動静脈の成熟期に高発現する2タンパク質α-fetoprotein(AFP)とtransgelin(SM22)を帰属した。AFPは胎仔のアルブミンと考えられる糖タンパク質である。SM22は平滑筋に高発現するアクチン結合タンパク質の一つであり、細胞の形状の変化や形質転換に関係することから、臍帯動静脈の収縮制御に寄与すると考えられる。 まとめ:本研究により、未熟臍帯動静脈では分子シャペロン群の発現が高く、タンパク質の合成が活発であることが容易に推定されるが、酸化還元に関係して機能するPDIなど多機能なタンパク質が多いことから、臍帯動静脈のみならず胎仔の成熟に重要な役割を担っていると考えられる。胎仔の成熟期においてSM22の増加が見られたことから、この時期の臍帯動静脈の収縮制御が盛んであると推定される。
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