2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトてんかん原性脳組織における酸化損傷タンパク質の網羅的探索と細胞毒性の解析
Project/Area Number |
22791046
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
古川 絢子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 病理学部, 研究員 (10455537)
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Keywords | てんかん / 酸化ストレス / 興奮毒性 / プロテオミクス / 酸化損傷タンパク質 / 海馬硬化 |
Research Abstract |
低酸素性虚血性脳症や熱性けいれんなど急性脳傷害を経験した患者において認められる重篤な後遺症の一つはてんかん発作である。てんかん焦点は神経細胞の異常な興奮が繰り返し起きており、慢性的な興奮毒性に曝されている組織であると考えられる.また、てんかん患者の血漿中にタンパク質の酸化損傷が正常対照と比較して多いことが報告され、慢性的な興奮毒性に酸化ストレスが関与する事が示唆された。本研究は、興奮毒性に起因する急性的および慢性的な脳損傷における酸化ストレスの役割を解明し、治療標的となる分子を提唱する事が目的である。本年度は慢性的な興奮毒性状態が想定されるヒトてんかん外科切除脳組織を用いて、タンパク質酸化損傷の指標の一つであるカルボニル化タンパク質の生成を検討した。内側側頭葉てんかんで海馬硬化症と診断されたてんかん外科切除脳組織を、海馬硬化が認められるCA1領域と、組織学的に著変が認められない側頭葉新皮質に分けて、カルボニル化タンパク質の生成を比較した。正常対照として、神経学的症候が認められない新鮮凍結剖検脳を同様に切り出して用いた。各組織から抽出したタンパク質を用いて2次元電気泳動とウェスタンブロット法によりカルボニル化タンパク質を検出し、同一患者の海馬と側頭葉新皮質を比較した。その結果、海馬硬化症および剖検脳の海馬と側頭葉新皮質でカルボニル化タンパク質を検出した。海馬硬化症例では側頭葉新皮質よりも海馬でカルボニル化が顕著なタンパク質が複数存在する可能性が示唆された。海馬硬化症例でカルボニル化が顕著に認められたタンパク質のいくつかは、発現量も変化していることが示唆された。今後、個々のタンパク質の発現量とカルボニル化量の変化を詳細に解析し、てんかん焦点のみでカルボニル化が増加しているタンパク質を同定し、慢性的な興奮毒性における酸化ストレスの役割を解明する。
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[Journal Article] Oxidatively generated DNA damage induced by 3-amino-5-mercapto-1,2,4-triazole, a metabolite of carcinogenic amitrole.2010
Author(s)
Ayako Furukawa, Shinji Oikawa, Kanako Harada, Hirokazu Sugiyama, Yusuke Hiraku, Mariko Murata, Atsuyoshi Shimada, Shosuke Kawanishi.
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Journal Title
Mutat Res.
Volume: 694
Pages: 7-12
Peer Reviewed
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