2010 Fiscal Year Annual Research Report
バピヨン・ルフェーブル症候群表皮細胞におけるセリプロテアーゼの活性化障害
Project/Area Number |
22791048
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
滝吉 典子 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (30568895)
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Keywords | 表皮細胞 / 角化 / 遺伝性疾患 / セリンプレテアーゼ / 掌蹠 / 遺伝子変異 / 癌 / メラノサイト |
Research Abstract |
バピヨン・ルフェーブル症候群は掌蹠角化、易感染性、歯周囲炎、を特徴とする比較的まれな常染色体性劣性遺伝病であり、その原因は多種のセリンプロテアーゼの活性化を担うカテプシンCの欠損である。申請者のグループは本症を数例経験し、そのカテプシンC遺伝子の変異を解析している。この酵素カテプシンCは、好中球やマクロファージに多く存在し、エステラーゼやグランザイムといったセリンプロテアーゼを活性化するので、本酵素が欠損するバピヨン・ルフェーブル症候群で、易感染性が生ずることは簡単に理解できる。しかし、本症に見られる掌蹠角化の発症機構を解明した内外の報告はない。今回の研究では本症の表皮細胞に生じている分化異常が、TGF-βの発現やシグナルの異常を引き起こし、メラノサイトの癌化を促進しているのではないかと考えた。本研究では、バピヨン・ルフェーブル症候群の原因であるカテプシンCの欠損が角化細胞の脱落を障害し過角化を引き起こしているか、TGF-βの発現やシグナルの異常を誘導して黒色腫の発生に関与するのか、という2つの仮説の検証を行っている。まず、本年度は、バピヨン・ルフェーブル症候群の遺伝子解析と表皮細胞株、リコンビナント蛋白作成を行った。我々は、新たに2人のバピヨン・ルフェーブル症候群を経験している。それらの患者のDNAからカテプシンC遺伝子を増幅して遺伝子変異を確認した。また、カテプシンCによるカリクレイセリンプロテアーゼ(KLK)の分解の確認も検討した。さらに、本症患者の一人から表皮細胞を培養し形態を確認しているが、特に目立った異常は確認されていない。つぎに、培養表皮細胞に角化を誘導し、その後カテプシンC、KLK5やKLK8をくわえることにより、細胞の結合が変化するかを検討した。本年度の検討で、我々の仮説が正しい可能性ができているので、引き続き来年度も研究を継続する。
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