2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚扁平上皮癌におけるPI3Kγの分子制御:臨床展開への模索に向けて
Project/Area Number |
22791051
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
津田 昌明 秋田大学, 医学部, 助教 (30333925)
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Keywords | 扁平上皮癌 / PI3K / 分子標的治療 |
Research Abstract |
これまで我々の研究室では、癌抑制遺伝子であるPTENの表皮におけるホモ欠質は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)経路を活性化させることにより、皮膚扁平上皮癌を発生させることを報告した。また、最近の準備実験において、PI3Kのp110γ触媒サブユニット(p110γ)が、この機序に深く関与する所見を得ている。そこで本研究課題では、PTENホモ欠損かつp110γホモ欠損マウスを作成し、その細胞増殖能、アポトーシス抵抗性、化学発癌処理に対する抵抗性などを解析する。この成果は、p110γの皮膚扁平上皮癌の進展過程における動的役割を解明し、かつ新規分子標的治療法を探索する上で貴重な知見となるものと期待される。 そこで本年度は、K5プロモーター下にCreを発現させたK5-CreトランスジェニックマウスとPTEN遺伝子にloxP配列を導入したPTEN-floxマウスを交配し、角化細胞特異的にPTENがホモ折損したマウスを作成することを試みた。その結果、PTENホモ欠損マウスはC57BL/6背景の純化が進むに連れて、生後まもなく死亡することが判明した。そこで、balb/cおよびFVB/Nマウスを用いて、我々が保持していた系統とは異なる遺伝的背景を有するマウスの交配を進めている。また同様に、佐々木雄彦先生(秋田大学)より供与されたp110γホモ欠損マウスもbalb/cおよびFVB/Nの遺伝子背景に変換中である。来年度は上記のマウスを交配し、PTENホモ欠損かつp110γホモ欠損マウスを得る予定である。
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