2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791061
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
濱口 儒人 金沢大学, 附属病院, 講師 (60420329)
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Keywords | 制御性B細胞 / 肺線維症 |
Research Abstract |
全身性強皮症に合併する肺線維症は予後を規定する重大な合併症であるが、これまで肺線維症に対する有効な治療法は確立していない。B細胞に特異的に発現しているCD20を標的とした抗CD20抗体を用いたB細胞除去療法は、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に幅広く用いられているものの、肺線維症に対するB細胞除去療法の有用性は確立していない。本研究ではブレオマイシン誘発肺臓炎モデルを用いて肺線維化におけるB細胞の役割と抗CD20抗体療法の効果について検討した。本年度は、(1)制御性B細胞の肺線維化に対する抑制効果、(2)ブレオマイシン誘発肺臓炎における浸潤細胞、の2点についてした。遺伝的にB細胞を欠損したマウスにブレオマイシンを投与したところ、野生型マウスに比べ肺の線維化は増悪していたが、事前に野生型マウスの制御性B細胞(B220^+CD5^+CD1d^<high>B細胞)を移入することで、増悪した肺の線維化は野生型マウスと同程度まで軽減した。一方、非制御性B細胞(B220^+CD51^<low>CD1d^-B細胞)を移入しても肺の線維化は抑制されなかった。また、IL-10を欠損したマウスから分離した制御性B細胞をB細胞欠損マウスに移入しても、肺の線維化は抑制されなかった。また、ブレオマイシン投与7日後の肺における浸潤細胞を検討したところ、B細胞除去療法により好中球とマクロファージの浸潤が減少し、肺の線維化の程度と相関していた。また、B細胞除去療法はM1マクロファージとM2マクロファージにも影響を及ぼしていた。以上より、肺の線維化においてIL-10を産生する制御性B細胞は発症期に重要な役割を担っていること、B細胞除去療法はマクロファージをはじめとする炎症細胞浸潤をコントロールすることが明らかになった。これらの知見は、肺線維化の新たな治療戦略を考える上で有益であると考えられた。
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Research Products
(1 results)