2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚虚血再潅流傷害マウスモデルを用いた褥瘡予防療法の検討
Project/Area Number |
22791062
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
齋藤 佑希 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (90547168)
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Keywords | 虚血再潅流 / 褥瘡 / 接着分子 / TNF-α / NO / NOS |
Research Abstract |
本年度は、接着分子ノックアウトマウス(ICAM-1^<-/->、L-selectin^<-/->、E-selecti^<-/->、P-selectin^<-/->)を用いた皮膚虚血再潅流傷害マウスモデルを作成し、その傷害の程度について検討した。またその前段階として、野生型マウスの虚血再潅流傷害における接着分子の発現について検討した。 その結果、野生型マウスにおいて4種の接着分子はいずれも傷害時に発現がみられ、特にICAM-1とP-selectinが上昇していた。発現量はICAM-1とL-selectinはday1からday3まで漸増しており、P-selectinとE-selectinはday1に高発現していた。接着分子ノックアウトマウスでは、治癒までの時間は野生型と同程度であり、傷害の程度は軽減されなかった。組織学的には、野生型と比べday1での浸潤細胞数は好中球、マクロファージ共に減少していたが、その後漸増し、day3には野生型と同程度まで増加していた。さらに、TNF-αとiNOSの発現量もday1は少ないものの、day3には同程度まで上昇していた。 以上から、いずれの接着分子も皮膚虚血再潅流傷害の細胞浸潤において関与しているものの、1種のみの阻害では十分な治癒軽減効果はなく、複数の接着分子を阻害する必要があることが示唆された。また細胞浸潤課程においてそれぞれの接着分子が段階的に作用するのではなく、その作用を補完しながら細胞を浸潤させることを示している。 来年度は、複数の接着分子をノックアウトまたは中和抗体により阻害したマウスで同様の検討を行い傷害抑制効果を検討し、抗TNF-α抗体や1400Wなどこれまでに効果が明らかなものと組み合わせて、より効果的な傷害抑制方法について検討し接着分子の関与・機序を解明する。
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