2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロニードルによるワクチン法の理論的根拠の確立
Project/Area Number |
22791066
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鬼頭 由紀子 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (30572854)
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Keywords | マイクロニードル / ワクチン |
Research Abstract |
角層を剥離した皮膚では表皮ランゲルハンス細胞(LC)が活性化され、かつ物質の浸透性が高まる。角層剥離した皮膚へ抗原ペプチドを塗布すると、24時間以内にLCはCD80、CD83、CD86の発現を増幅させ活性化状態となり、24~48時間後にはリンパ節へと遊走し、リンパ節内でペプチド特異的キラーT(CTL)が誘導され、末梢血中にペンタマーあるいはテトラマー陽性のペプチド特異的CTLが出現した。またStageIII/IVのメラノーマ患者約60名に対して経皮免疫療法を行ったところ、約半数の患者でCTLが完全に誘導され、誘導に成功したグループでは多変量解析にて生命予後の有意な改善が認められ(P<0.05)、縮小傾向にあるメラノーマ皮膚転移巣では腫瘍特異的なCTLが多く浸潤していることを確認した。そこで、角層を剥離した皮膚において、マイクロニードルでワクチン素材を投与すれば、アジュバントを用いることなくワクチン効果が得られ、また微少な針であれば出血や痛みも少なく合理的であると考えた。ラットの背部を抜毛処理し、角層剥離後、麻疹ワクチンをマイクロニードル型ワクチン接種機器により10μl、20μl、30μl、投与し、漏れた薬液の量から投与できた量を確認し、麻疹抗体価をEIA法で測定した。当初、表皮下層から真皮上層までしか針が届かず、血管や神経を傷つける可能性の低い、針の長さ100μm~500μm、針の数3~25本のマイクロニードルを作成したが、ワクチンを注入することが不可能であった。また1000μmの針でも49.6%のワクチンの漏れがあったが、1500μmの針を使用した群では、平均で予定量の93.3%を投与することができ、抗体価も投与量と比例して上昇し、針の長さは1500μmが適切であると考えられた。今後本研究を癌、感染症、アレルギーに対するワクチン法へと応用できればと考えている。
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