2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺尾 美香 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員(常勤) (40570669)
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Keywords | 皮膚癌 / 転移 / 糖鎖 / 創傷治癒 / Eカドヘリン / 糖転移酵素 |
Research Abstract |
糖鎖が皮膚癌に及ぼす機序を解明することを当研究の目的とした。当該年度は糖転移酵素の一つであるN-アセチルグルコサミン転移酵素-V (GnT-V)トランスジェニックマウス(GnT-V Tgマウス)の皮膚の解析をおこなった。GnT-Vマウス皮膚は肉眼的および組織学的には変化がなかったが、単離してきた表皮角化細胞に細胞遊走能の亢進、E-カドヘリン発現の変位、間葉系マーカーであるαSMAの発現などが認められた。これらの変化はepithelial-mesenchymal transition (EMT)時に認められる現象である。さらに、表皮組織でもEMT関連の転写因子のSnail、Twistの発現が増強していた。同様の現象が生体内でも起きているのかを確認するために、GnT-V Tgマウス背部に創傷を作製し、創傷治癒アッセイを行ったところ、野生型マウスに比べGnT-V Tgマウスでは創傷治癒が有意に促進していた。これらの結果よりGnT-V過剰発現に伴い、GnT-V Tgマウスの皮膚はEMT様変化をきたし、創傷治癒の促進がみられたと考えた。今後はGnT-V Tgマウスの皮膚がEMT様変化をきたす原因についてEGFシグナルなどを中心に検索していく予定である。 GnT-Vは糖転移酵素の中でも癌と深く関係していることが知られている。一方、EMTは表皮内癌が基底膜を破り浸潤していくときにみられる現象である。今回、GnT-V Tgマウス皮膚でEMT様変化がみられたことより、GnT-Vを発現している癌細胞はEHTをきたしやすく転移しやすいことが推測され、癌におけるGnT-Vの役割の解明につながると考えられる。
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Research Products
(13 results)