2011 Fiscal Year Annual Research Report
難培養性細菌と真菌を含む皮膚微生物叢の分子生物学的手法を用いた網羅的解析法の確立
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22791073
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
出来尾 格 島根大学, 医学部, 講師 (80338128)
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Keywords | 皮膚感染症 / 微生物ゲノム / 皮膚科学 |
Research Abstract |
細菌と真菌の両方を含む皮膚の常在微生物叢は、皮膚科領域の多くの病態に重要な役割を果たしている。培養困難な細菌種を含む細菌叢の分子生物学的な網羅解析法は、研究代表者の2005年の論文を皮切りに、徐々に実態が解明されつつある。しかし、細菌と真菌の両方を含む常在微生物叢の網羅的な解析の報告はまだなく、常在微生物叢の実態については未だ不明な点が多い。本研究は、細菌・真菌の両方を含む常在微生物叢の網羅解析をめざしたものである。 2年目となる平成23年度は、1.細菌と真菌を見分ける蛍光プライマーの選択、2.真菌解析のための制限酵素の検討、3.細菌・真菌混合サンプルにおけるターミナルRFLPパターンの作成の3つを目標とした。まず1.の検討を行い、細菌16SrRNA遺伝子については8Fプライマーに6-FAM色素による青色蛍光をつけた増幅、また真菌18SrRNA遺伝子についてはEF4プライマー(Forward)にVIC色素による緑色蛍光を付加した増幅を試行した。ブドウ球菌、マラセチア属、Pseudomonas属、などでこの増幅を行ったところ、これらの蛍光が増幅産物に取り込まれていることが確認できた。さらに2.の検討として、in silicoの解析にて真菌では細菌同様HhaI、MspI、MnlIの各制限酵素が有用で、皮膚糸状菌・カンジダ・マラセチアについて制限酵素断片が70bp-800bpの範囲に収まることが示された。3,については、今後の課題となった。また、試行的に採取した臨床サンプルに含まれるタンパクの解析により、副次的にサイトカインの定量結果が得られ、これをInternational Archives of Allergology and Immunology誌に投稿し掲載された。また、サンプル採取時の患者指導より、軟膏外用法のデータが得られたが、これの成果がJournal of Dermatological Treatment誌に投稿し掲載された。さらに、本研究で目指している常在微生物叢の網羅解析の展望について、英文著書Atopic Dermatitisの中に記述した。
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