2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791078
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
毛利 安宏 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (80464353)
|
Keywords | 皮膚 / 乾癬 / コルネオデスモシン |
Research Abstract |
表皮ケラチノサイトに発現し、かつ乾癬の疾患感受性遺伝子であるcorneodesmosin(CDSN)遺伝子の生理的機能を明らかにする目的でCDSN欠損マウスを作製したところ、CDSN遺伝子産物が表皮の恒常性維持に必須の役割をもつことが明らかになった。すなわち、CDSN欠損マウスの表皮は角質ケラチノサイトの接着障害によって角質層が容易に剥離・脱落し、マウスは生後早期に死亡した。このことから、角質デスモゾームの構成分子CDSNが表皮の角化のプロセスを制御し、皮膚バリアー機能に必須の役割をもつことが初めて明らかとなった。しかしながらより重要な知見は、CDSN欠損皮膚をヌードマウスの背部に移植してCDSN欠損皮膚の変化を長期に観察したところ、表皮の著明な肥厚、錯角化、表皮への炎症細胞浸潤といったヒトの乾癬にきわめて類似した病理組織所見を認めたことである。これらのケラチノサイトにおいては乾癬に認められるStat3の活性化も観察された。このことから、CDSNは単にケラチノサイト間の接着を担うのみならず、ケラチノサイトの生物学的機能にも重要な役割をもち、その機能障害が乾癬病態に何らかの役割をはたしていることが示唆された。以上の知見を十分な個体数を用いて確認するとともに、これらの病態プロセスに炎症性サイトカインがどのように関わっているかを明らかにする目的で、IL-22に対する中和抗体やIL-12/IL-23の共通構成要素であるp40に対する中和抗体をCDSN欠損皮膚を移植したヌードマウスに投与し、その効果を病理学的に検証する予定である。
|
Research Products
(6 results)