2010 Fiscal Year Annual Research Report
表皮角質層・タイトジャンクションバリアの生成維持、制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
22791089
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横内 麻里子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (50571478)
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Keywords | 重層扁平上皮 / 可視化 / Tight Junction / 表皮バリア |
Research Abstract |
本研究は、皮膚におけるTight junction(以下TJ)が、皮膚のバリア機能において重要な役割を担っているという知見(Furuse M, et al.J.Cell Biol,2002)に基づき、皮膚バリアを静的バリア=角質層バリア、動的バリア=TJバリアの2層から構成されると定義し、その相互作用と役割分担、生成維持のメカニズムを明らかにすることを目的としたものである。また近年、アトピー性皮膚炎の発症要因として角質層バリア構成蛋白フィラグリンの遺伝子異常による皮膚バリアの先天異常が注目されているが、本研究においてはこのアトピー性皮膚炎の病態についても新たな知見が得られた。本年度の研究の要旨を以下に詳述する。 フィラグリンは角質層の主要構成物質であり、ケラチン繊維を凝集させ束ねるとともに、それ自身が分解され角質層の天然保湿因子として働くと考えられている。われわれはこのフィラグリン欠損マウスを角質層バリア障害モデルと定義し、皮膚におけるもう一つの主要なバリア機構であるTJバリアの解析を行った。表皮TJバリアを立体的に可視化する手法を用い(Kubo A, et al.J.Exp Med,2009)、フィラグリン欠損マウスと正常マウスの表皮TJの立体構造を比較したところ、主要なTJ構成要素であるclaudin-1、occludin、ZO-1の発現は双方で明らかな違いはみられず、また立体構造にも差はなかった。さらに、ビオチン化試薬を用いたTJ機能評価法、TJ Permeability assay(Furuse M, et al.J.Cell Biol,2002)を行い、フィラグリン欠損マウスの表皮TJは、正常なバリア機能を有することを示した。本研究の成果により、アトピー性皮膚炎の病態についてのさらなる理解が深まることが期待される。
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