2011 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫におけるPDー1関連免疫抑制とケモカイン受容体関連転移修飾
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22791095
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
日野 亮介 産業医科大学, 医学部, 講師 (30446116)
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Keywords | 悪性黒色腫 / ケモカイン受容体 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
悪性黒色腫の免疫抑制は多くの現象が複合的に重なって生じる。その結果腫瘍の進行や転移を招く。この現象を腫瘍細胞からの抑制性サイトカインの産生,抑制性分子の発現,ケモカインレセプターの発現パターン,そして浸潤細胞の特徴や機能など網羅的に調査することを目的とした。 手術で得られた悪性黒色腫の組織を一部採取し,collagenaseで処理し,PD-L1発現やケモカイン受容体の発現,および腫瘍浸潤細胞のPD-1染色を行い,フローサイトメーターでその強度を確認する。特に,ケモカインレセプターに関してはCCR1-10,CXCR1-5の全てを網羅的に調査した。 その結果,腫瘍の増大が早く急速に予後不良になる例において,得られた腫瘍細胞にCCR5が強く発現していることが見いだされた。そのため,CCR5の発現が免疫学的に何らかの意義がある可能性に着目した。すると,CCR5発現している細胞は癌幹細胞マーカーであるCD133を発現していることが認められた。CD133を発現するメラノーマ細胞株であるWM-115細胞を用いて検討したところ,CCR5のリガンドであるCCL3,5の添加をし,細胞内サイトカイン染色にて確認したところTGF-βやIL-10などの抑制性分子の産生が増強した。かつ腫瘍細胞そのものがCCL5を産生していることを見いだした。かつCCL5の添加により腫瘍細胞の増殖能が亢進することも確認できた。以上の結果より,メラノーマ細胞にCCR5が発現することは,そのリガンドにより増殖能を亢進させるのみならず,抑制性分子の発現を促し,さらにautocrine的に産生してその作用を増強することで腫瘍の進展に寄与する可能性を見いだすことができた。
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Research Products
(2 results)