2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791097
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
小林 美和 産業医科大学, 医学部, 講師 (00341503)
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Keywords | 表皮角化細胞 / 自然免疫 / ナノマテリアル / サイトカイン |
Research Abstract |
接触皮膚炎における皮膚での最初の反応を考えるため、表皮角化細胞に対する抗原と細胞障害性物質の影響を比較する。まず化学的に安定しているが、細胞障害性がある物質について調べた。二酸化チタンは、その形状により、細胞への影響の大小があることが知られており、主に気道構成細胞への障害性について検討されている。その中で、化粧品や顔料に含まれている球状のチタンは細胞障害性が少ないが、針状のチタンには毒性があることが分かっている。そこで、今回われわれは、表皮角化細胞に対するチタンの影響を、針状と球状の2種類で比較検討することとした。 培養表皮角化細胞に抗原物質を添加培養し、1.表皮角化細胞のinflmmasome関連遺伝子の発現量変化、2.培養上清中に産生された炎症性サイトカイン/ケモカインの産生量変化、3.表皮角化細胞の細胞内カルシウム濃度の変化、を検討した。結果、針状二酸化チタンは、1.Caspase 1のmRNA発現が亢進しており、2.IL-6,IL-8,の産生を亢進させた。つまり、針状二酸化チタンは表皮角化細胞に対して障害性をもち、皮膚においては炎症を惹起する可能性があることが示唆された。これらの分子は、細胞障害性物質に対する自然免疫反応に関連するものであり、二酸化チタンに対する表皮角化細胞の反応には、自然免疫系が発動している可能性がある。なお、3.の細胞内カルシウム濃度の変化は、共焦点レーザー顕微鏡で観察したが、二酸化チタン添加30分後までの観察では、濃度変化が検出されなかった。一方、球状二酸化チタンを添加培養しても、表皮角化細胞にはこれらの変化は見られず、安全性が確認された。
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Research Products
(1 results)