2011 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の治療抵抗性に関与する心理的・生物学的要因の検討
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22791106
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 昭仁 山形大学, 医学部, 講師 (10396567)
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Keywords | 精神病理学 |
Research Abstract |
平成23年度は研究計画に基づき引き続き対象の募集を行った。具体的には、山形大学医学部附属病院精神科を受診した患者で、Structured Clinical Interviewを用いてDSM-IVの大うつ病性障害の診断基準を満たし、重篤な身体疾患を有さず、治療前のMontogomery-Asberg Depression Rating Scale (MADRS)スコアが21点以上の患者で、研究参加に対して文書で同意の得られた患者を対象とした。治療を標準的な治療プロトコールに従って開始し、治療開始0、12、24週間後に、うつ病の重症度をMADRSおよびInventory for Depressive Symptomatology (IDS)により評価し、人格特徴全般、対人関係敏感性、認知・態度の歪みをそれぞれTemperament and Character Inventory (TCI)、Interpersonal Sensitivity Measure (IPSM)、Dysfunctional Attitude Scale (DAS)により評価した。また、治療開始0、12、24週間後に、対象の前正中静脈から30mlずつ採血し、血漿-80℃で冷凍保存し、また、QIAmp Blood Kit(Qiagen、Tokyo、Japan)を用いてgenomic DNAを抽出し-20℃で冷凍保存した。 平成24年3月現在、28例が本研究にエントリーした。平成24年度も引き続き対象の募集を行っていく予定である。また、平成24年度は得られた結果より、治療開始前のTCI、IPSM、DAS、神経栄養因子血中濃度・遺伝多型が、うつ病の治療抵抗性に与える影響について検討する予定である。 また、うつ病のコントロールとして、725例の健常日本人を対象とし、対人関係敏感性と両親の養育態度をそれぞれ、Interpersonal Sensitivity Measure (IPSM)とParental Bonding Instrument (PBI)により評価し、脳由来神経栄養因子(BDNF)Val66Met遺伝多型をPCR-RFLP法により同定した。その結果、BDNF遺伝形が両親の養育態度に対する感受性を調節し対人関係敏感性に影響を与えることが示され、本結果を論文にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標対象数を50例と設定して研究を行ってきているが平成22-23年で計28例となっている。一方で、コントロールとして収集したデータより、うつ病の治療抵抗性に関与する人格特徴の一要因の解明がなされたため、本研究の達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度も引き続き対象の募集を行い、得られた試料を用いて神経栄養因子血中濃度・遺伝多型を同定する。また、得られたデータより、治療開始前のTCI、IPSM、DAS、神経栄養因子血中濃度・遺伝多型が、うつ病の治療抵抗性に与える影響について検討する予定である。
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Research Products
(1 results)