2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーを利用した自閉症候補遺伝子領域のターゲットリシークエンス
Project/Area Number |
22791107
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栃木 衛 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40456116)
|
Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
平成23年度は、1)前年度次世代シークエンサーを用いて行った、4世代にわたり自閉症性障害を発症している家系を対象としたエクソーム解析のデータ解析と、2)やはり前年度自閉症性障害患者とその両親163組について得たAffymetrix社製AffySNP6.0のデータに関するコピー数多型(CNV)解析を引き続き実施した。1)は末梢血由来のDNAを用い、ショットガンシークエンスライブラリーを作成した上で、Agilent社製SureSelectヒト全エクソンキットを用いてキャプチャーを行い、さらにそれをIllumina社製GenomeAnalyzerIIによりpair end 75-bpの条件下にて解析したものである。塩基の決定にはILLuminapipeline1.5を用い、得られたシークエンスはCLC Genomic Wrokbenchソフトウエアを用いてマッピングを行った。解析を進めた結果、発端者で11,082個の変異を見出しており、うち5,560個が非同義置換あるいは挿入/欠失を伴うものであった。この中から、疾患と完全に共分離している候補遺伝子として、ストップコドン変異3個、フレームシフト変異3個が選び出されている。現在のところ、当初の解析対象であった15q11-q13領域と直接結びつく知見は得られていないが、サンガーシークエンスによる確認や機能解析により新たな自閉症候補遺伝子の発見につながる可能性のある結果を得ている。2)では、健常対照者487名分のデータを新たに追加し、Birdsuite、QuantiSNP、PennCNVの3つのソフトウエアを用いることにより、CNVWとしてより信頼性の高い判定を得ることを目指した。その結果、サンプルやSNPを対象にデータのクリーニングを行って残った136組のデータのうち、500K塩基対以上の大きさのde novoCNVが7組のサンプルで8つ認められており、そのうちの1つは15q11.2領域における重複であることが判明した。やはり当初の目的であった15q11-q13に微細構造異常を示すサンプルのアレイCGHデータの確認には至らなかったが、これ以外にもNLGN4X、CNTN4遺伝子などに影響を与えるCNVの存在や、健常対照群との比較において疾患群で有意にCNVが多く存在していることなどを見出した。
|