2011 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルガー症候群における《無意識的知覚》能力の神経科学的解明
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22791130
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
土居 裕和 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40437827)
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Keywords | アスペルガー症候群 / 社会的コミュニケーション / 表情 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムと呼ばれる発達障害の一類型である。アスペルガー症候群患者は、同年齢の健常者と比べて同等な知能を有していながら、重篤な社会的コミュニケーション能力の障害を呈する。国内外の研究者により、その病因・病態解明の努力が続けられており、自閉症の関連遺伝子は明らかにされつつあるが、アスペルガー症候群にみられる社会的コミュニケーション能力障害の神経基盤の全貌は未だ明らかになっていない。これを踏まえ、本研究では、アスペルガー症候群における社会的認知障害は、閾値下での社会的コミュニケーション情報処理障害に由来するとの仮説を検証することを目的とし行動・脳機能計測実験を実施した。 今年度は、閾値下提示された表情情報と、音声情報との異種感覚統合能力の評価系確立を目的として、事象関連電位計測を実施した。具体的には、両眼視野抑制法により表情刺激を提示すると同時に、情動的音声を提示した。同音声刺激の感情カテゴリー判断を行っている際の事象関連電位を64ch多チャンネル脳波計により計測した。分析では、後側頭部電極において、刺激提示律約250msに記録された陽性成分振幅を分析した。その結果、閾値下提示した表情画像と、音声刺激の感情カテゴリーが一致している時、不一致の場合に比較して、同陽性成分の振幅が有意に増大した。 この結果は、同陽性成分が健常者における閾値下提示された表情情報と、感情的音声の異種感覚統合能力を反映することを示唆している。現在、同成分を指標として、成人アスペルガー症候群における異種感覚情報能力の検討を進めている。
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Research Products
(5 results)