2010 Fiscal Year Annual Research Report
成人期の軽度発達障害患者における聴覚性感覚記憶の障害に関する研究
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22791136
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
板垣 俊太郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80457788)
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Keywords | 事象関連電位 / 注意欠陥多動障害 / 広汎性発達障害 / MMN |
Research Abstract |
本研究は、成人期の軽度発達障害、主に注意欠陥/多動性障害(以下、AD/HD)と広汎性発達障害(以下、PDD)における認知の障害をミスマッチ陰性電位(mismatch negativity、以下MMN)などの事象関連電位(ERP)を用いて明らか}こすることを目的とする。MMNは、聴覚性感覚記憶を基盤とした自動的な無意識認知を反映する精神生理学的反応である。対象となる軽度発達障害は、かつては小児期だけの問題と捉えられていたが、近年、成人期でもその行動特性が持続して、様々な精神疾患を合併しやすいと言われて精神科臨床場面において注目されてきている。しかしながら成人期の発達障害に対するERP研究は数えるほどであり、今回成人期に持続する軽度発達障害の脳病態の解明にMMNをはじめとした脚を測定することは、診断治療効果判定の進歩に大いに寄与すると考えられる。また、PDDと鑑別困難例も散見される統合失調症との比較対照を行うことで、両者の鑑別診断の補助となることも期待できる。 今年度は事象関連電位の正常対照群を作成することを目的とした。 機器としては日本光電NeruroPack MEB2200を用いた。計測は専門のスタッフが施行した。計測は聴性Oddball課題、聴性Attention課題、聴性Reading課題とした。Oddball課題よりN2bとP300を、Attention課題よりNdを、Reading課題よりMMNを求めることとした。 今年度の参加者は、精神疾患の既往が無く、今まで向精神薬投薬を受けたことのない成人であり、男性8名、女性7名の計15名である。平均年齢は30.4歳(S.D.=7.9歳)であった。結果については、集計中に東北関東大震災の被害にあい、現在データは解析中である。
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