2012 Fiscal Year Annual Research Report
成人期の軽度発達障害患者における聴覚性感覚記憶の障害に関する研究
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22791136
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
板垣 俊太郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80457788)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 事象関連電位 / 注意欠陥多動障害 / 広汎性発達障害 / 統合失調症 / MMN |
Research Abstract |
本研究は、成人期の軽度発達障害、主に注意欠陥/多動性障害(以下、AD/HD)と広汎性発達障害(以下、PDD)における認知の障害をミスマッチ陰性電位(mismatch negativity、以下MMN)などの事象関連電位(ERP)を用いて明らかにすることを目的とする。MMN は、聴覚性感覚記憶を基盤とした自動的な無意識認知を反映する精神生理学的反応である。対象となる軽度発達障害は、かつては小児期だけの問題と捉えられていたが、近年、成人期でもその行動特性が持続して、様々な精神疾患を合併しやすいと言われて精神科臨床場面において注目されてきている。しかしながら成人期の発達障害に対するERP研究は数えるほどであり、電気生理学的所見を得ることには意義があると考えられる。 今年度は学会発表2件を行った。学会発表は2012/05/04にThe 6th Conference on Mismatch Negativity (MMN) and its Clinical and Scientific Applicationおよび2012/11/08の第42回日本臨床神経生理学会学術大会にて「Mismatch Negativity (MMN) in Patients with Adult Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder」として報告した。これは成人AD/HD19名(男性10名 平均36歳)、HC群15名(男性8名 平均30.5歳)のMMNの比較検討を行ったもので、結果は左耳刺激MMNにおいてAD/HD群が有意な潜時の延長を認め、振幅の減衰は認めなかった。これは従来報告されてきた小児AD/HDのMMNの振幅減衰とは異なる結果であり、成長によりMMN振幅の減衰が改善する可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は学会発表を2件行うことが出来て、そのうち1件は目標としていた国際学会でのポスター発表であった。そのため、研究報告の英文化に一定のめどがついたが、昨年度のように論文掲載までは至らなかった。そのため現在の進捗状況はおおむね順調であるが、尚、努力を要すると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
AD/HD症例の研究報告はおおむね順調である。これまでAD/HD症例群において、メチルフェニデート投薬前後の事象関連電位データが集積されてきているが、報告まで至っていない。そのため、この解析と研究報告を行う予定である。 また最終年度にあたる平成25年度は研究成果早急に英文論文し、雑誌掲載を目指す必要がある。そのため、論文投稿を2編行うことを目標とする。
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