2010 Fiscal Year Annual Research Report
fMRIを用いた統合失調症の思考メカニズムの障害に関する研究
Project/Area Number |
22791143
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
松田 哲也 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30384720)
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Keywords | 統合失調症 / fMRI / 思考障害 / 自動処理 / 大脳基底核 |
Research Abstract |
我々は経験・知識に応じて熟慮的意思決定から自動的・反射的意思決定システムに移行させ、逆に自動的・反射的意思決定システムから環境や課題内容の変化に伴い熟慮的意思決定システムに移行する。統合失調症ではこれらのシステムを環境変化に応じて変化させる機能に障害があると考えられる。そこで、本研究では、機能的MRIを用い、熟慮的意思決定システムと反射・自動的意思決定に関連する脳部位を明らかにし、さらに統合失調症と健常者の賦活パターンを比較することで統合失調症の思考システムの障害を脳のシステムレベルで明らかにすることを目的とした。平成22年度は、熟慮的意思決定に関与する脳部位の同定、反射的・自動的意思決定に関与する脳部位の同定、熟慮的意思決定システムと反射・自動的意思決定システムの切り替えに関与する脳部位の同定ができるfMRI用の課題を作成のための行動実験、健常者におけるfMRIの予備実験を行った。その結果、自動的判断条件ではトライアルを重ねても正答率は高いまま、熟慮的判断条件変化はトライアルを重ねても正答率は低いままで変化が見られなかった。しかしルールを使用できるモデル使用条件では、トライアルを重ねるにつれて、正答率が有意に高くなった。つまり、行動実験レベルで自動的判断、熟慮判断、モデル使用での熟慮から自動判断に変化するといった3つの思考パターンを抽出できた。現在、fMRIを用いて健常者の脳賦活領域について解析を行っている。今後、健常者の被験者数を増やすと同時に、総合失調症のfMRI実験も開始する予定である。
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Research Products
(5 results)