2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい薬物治療を目指した神経性食欲不振症の病態でのグレリンとCRFの役割の解明
Project/Area Number |
22791144
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
眞野 あすか 日本医科大学, 医学部, 助教 (50343588)
|
Keywords | ストレス / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本研究では非ストレス時やストレス負荷に対する視床下部の反応性におけるCRFとグレリンの役割について明らかにするとともに神経性食欲不振症の病態におけるこれらペプチドの関与を明らかにすることを目的としている。本年度はストレスがグレリンの摂食促進作用へ影響を及ぼすか否かについて明らかにすることを目的とした。 ウィスター系オスラットの脳室内へあらかじめ薬物投与用のカニューレを留置し、実験当日90分の拘束ストレスを与えた後にそのカニューレを介してグレリンを脳室内へ投与した。その後30分毎、投与から90分間の摂食量を測定した。生理食塩水を脳室内へ投与した群を対照群とし、ストレスの有無やグレリン投与の有無による摂食量の差を解析した。 ストレスの有無に関わらずグレリン投与群の摂食量は生理食塩水投与群と比較して有意に多かった。ストレス負荷後生理食塩水を投与した群では摂食行動は認められなかった。CRF過剰発現マウスでは絶食による弓状核でのFos発現増加が抑制されていることから、ストレス負荷がグレリンによる摂食促進作用を阻害することが期待されたが、上述の通りストレスによるこれに対する阻害効果は認められなかった。 神経性食欲不振症では慢性心理ストレスが発症の背景にあり、脳脊髄液中のCRFの濃度が上昇していることが明らかとなっている。同患者の血中グレリン濃度は高値を示すことからグレリンの作用が障害されている可能性が示唆されてきたが、同患者へのグレリンの投与は摂食促進効果を持つことから、同患者の病態におけるCRFやグレリンの関与様式については未だ明らかではない。今後グレリンの摂食促進作用がストレスにより障害されなかった機序についてさらに研究を進めて行く予定である。
|