2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791145
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
伊藤 滋朗 日本医科大学, 医学部, 助教 (90515975)
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Keywords | 脳機能画像 / HIV |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus : HIV)は初感染から数年を経過して、免疫系に破綻を来たした後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome,;AIDS)の原因となるウイルスである。また、HIVが脳疾患をもたらす機序は不明であるが、中枢神経系を標的として、他の日和見感染症とは異なった神経学的症状を伴うことがある。HIV原発性中枢神経障害は、行動・運動・認知などの障害が不可逆的な進行を来たし、HIV脳症(HIV認知症)とも称せられる。通常は、AIDS関連疾患が診断された後のHIV感染末期に発症することが多いが、ときにHIV脳症の症状が他のAIDS指標疾患に先行することもある。本研究課題では、明らかな精神症状及び神経症状が出現していないHIV陽性者と年齢や教育歴をマッチングさせた健常者に対して頭部MRIを施行して、得られた画像から全脳の容積を計測し、HIV感染による大脳における影響を検討する。さらに性格・神経心理検査を施行して、性格傾向と脳の形態や機能の相関・関連についても併せて検討する。HIV陽性者に関する神経学的な機能画像研究は、これまで本邦ではなく、向後の医療の発展に寄与できるものと考えられる。本課題は、HIVに関連した疾患研究では本邦での基幹的な医療機関である国立国際医療研究センター病院で行っている。同院の新病院が稼働となり、新規MRI機器導入や施行体制が整わず、予定していた研究の開始が遅延することになったため、各倫理委員会の承認も得て被験者への検査は開始しているが、現在の時点では有意なデータ解析に必要な被験者数に達していない。既に検査施行体制は正常化しており、次年度以降、当初の研究計画通りに成果を報告できると思われる。
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