2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳内アロマテースの攻撃性へ及ぼす影響の解明―ヒトPET研究
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22791155
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 佳代 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ動態応用研究チーム, 研究員 (90462697)
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Keywords | aromatase / PET / emotion / estrogen / hypothalamus / thalamus / amygdala |
Research Abstract |
脳内aromataseと攻撃性に関連があることが動物実験で示されているが、ヒトでの関連性を調べるために、ヒト生体内aromataseを定量できるPETプローブ[^<11>C]Cetrozoleを以前に開発した。今年度はそのPETプローブを用いてヒト脳内aromataseを定量できるかどうかをはかるため、健常被験者でのPET実験を行った。現時点で男性11名、女性5名でPET試験を終えており、[^<11>C]Cetrozoleを用いてヒト脳内aromataseが定量可能であることを明らかにした。[^<11>C]Cetrozoleの脳内動態は、以前検討したアカゲザルの脳内動態と同様の推移を示しており、代謝物が放射性同位体で標識されたまま脳内に取り込まれる現象も起こっていないことが推察された。また、[^<11>C]Cetrozoleの代謝率もアカゲザルのそれと同様であった。 また被験者には攻撃性をはかるための質問紙Buss-Perry aggression testや、性格・気質をはかるための質問紙Temperament and Character Inventory等を行っており、現在脳内aromataseとそれらの因子に関連性があるのかどうか検討中である。 前年度にTMD-322がCetrozoleよりaromataseに対する結合脳が高いことを示したが、非標識体のTMD-322のヒトへの投与も行われており、標識体のTMP-322のヒトでのPET試験の準備が整っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトでのPET試験を順調に開始し、健常者での例数を集めることができており、また攻撃性を伴う精神疾患として摂食障害の患者のリクルートの準備も整っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
摂食障害の患者でのPET試験を行い、健常者との違い、攻撃性とaromataseレベルの相関を検討する。しかしながら、摂食障害の患者のサンプル数を来年度中に十分そろえることは難しい可能性がある。その場合は健常者の例数を増やす。また、aromatase遺伝子の一塩基多型と性格・気質に関連があるという報告がされているので、被験者の血液よりaromatase遺伝子の配列を決定し、その因子も含めてaromataseが情動・性格・気質に係る可能性を検討する。
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