2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791157
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Research Institution | 財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
細川 雅人 財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 主席研究員 (00435116)
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Keywords | 前頭側頭葉変性症 / TDP-43 / ELISA / 筋萎縮性側索硬化症 / 脳脊髄液 |
Research Abstract |
本研究は前頭側頭葉変性症(FTLD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因分子として同定されたTDP-43を定量するシステムを確立し、疾患の早期診断・早期治療に寄与することを目的として、脳脊髄液(CSF)中のTDP-43を検出するELISAシステムを構築することをめざしたものである。 TDP-43は核タンパクであり、正常細胞では核内に局在しているが、TDP-43が細胞外へ分泌されるかどうかは不明であった。通常は核内にあるTDP-43が細胞外へ分泌される可能性を調べるために、培養細胞の培養上清を用いた免疫沈降を実施した。その結果、GFP-TDP-43を発現させたSH-SY5Y細胞の培養上清中にTDP-43が分泌されることがわかった。TDP-43には細胞外分泌シグナル配列が存在しないので、非定型分泌経路によって細胞外へ分泌されていると推測された。 ALS患者および末梢神経障害であるギランバレー症候群(GBS)患者のCSF中TDP-43の検出をサンドイッチELISAにて行った結果、ALS患者CSF中のTDP-43濃度がGBS患者に比べ、有意に高いことが判明した。この結果はALSと末梢神経障害の鑑別診断をおこなうことができる可能性を示すものである。同時に測定したFTLD患者CSF中のTDP-43はALSに比べて低値であった。今回用いたFTLDはFTLD-TDPではなく、FTLD-tauであった可能性が高いと考えられる。 臨床応用に向けてさらにTDP-43の検出感度を高めること、および多検体測定と少量のCSFでの計測を可能にするため、高感度検出法を実施した。高感度検出法ではシグナルを増幅することから、検出感度の上昇が期待されたが、TDP-43が入っていないネガティブコントロールでもシグナルの増幅が見られるなど、反応が特異的ではないことが判明した。
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