2010 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイドによる抗うつ薬関連遺伝子Ndrg2発現誘導のシグナル解明
Project/Area Number |
22791159
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高橋 弘 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神薬理研究部, 流動研究員 (20415582)
|
Keywords | グルココルチコイド / Ndrg2 / アストロサイト / 抗うつ薬 / 発現調節 / プロモーターアッセイ |
Research Abstract |
我々は、Ndrg2(N-Myc downstream regulated gene 2)遺伝子が、ラット前頭葉皮質特異的に抗うつ薬投与及び電気けいれん負荷で共通して発現減少することを明らかにした。Ndrg2は、中枢神経系でグリア細胞の一つであるアストロサイト特異的に発現していることが報告されている。興味深いことに、Ndrg2はストレスホルモンであるグルココルチコイドの投与及び慢性ストレス負荷動物において発現上昇する。しかし、グルココルチコイドによるNdrg2発現誘導のメカニズムに関しては明らかとなっていない。そこで本研究では、単離アストロサイトを用いてこの発現誘導機構を明らかにすることを目的とした。単離アストロサイトにおいて、Ndrg2の発現はDexの濃度依存的かつ時間依存的に上昇した。また、この発現上昇は、グルココルチコイド受容体(GR)阻害剤であるRU38486により完全に抑制された。一方、ストレス誘発Ndrg2発現上昇には、Ndrg2上流に存在するGRE(Glucocorticoid Response Element)half-siteが関与すると考えられてきた。そこで、GRE half-siteが欠損しているベクターでluciferase assayを行った。その結果、この領域はNdrg2転写活性に影響していないことを明らかにした。また、蛋白質合成阻害剤であるcycloheximideを処置したところ、Dex誘発のNdrg2 mRNA発現上昇は抑制された。これらの結果は、Dex誘発Ndrg2発現誘導が、GRの直接転写制御によるものではなくではなく、間接的に他の蛋白質を介していることを示唆している。以上の結果より、実験動物で認められたストレス負荷によるNdrg2の発現上昇機構には、これらの機構が関与していることが考えられた。
|
Research Products
(1 results)