2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射線を生残した腫瘍細胞におけるニューロピリンの機能解析
Project/Area Number |
22791162
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堤 香織 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (80344505)
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Keywords | 放射線治療 / ニューロピリン1 / 血管新生 / 再増殖腫瘍細胞 |
Research Abstract |
本研究課題は、放射線治療後に再び増殖する腫瘍のモデル細胞群(IR株)におけるニューロピリン1の発現量の増加が血管新生能や細胞接着に及ぼす影響を調査することを目的とする。初年度にあたる平成22年度は、1)VEGF分泌量の比較、2)血管新生能の比較、3)ニューロピリン1発現量の比較検討した。使用細胞は、ヒト肺非小細胞癌由来H1299株とヒト乳癌由来MCF7株を用いた。それぞれの細胞株に10GyのX線を照射することにより再増殖腫瘍細胞のモデル細胞群IR株を作成し、細胞性質の変化を照射前の細胞(親株)と比較した。親株とIR株から細胞外に分泌されるVEGF分泌量をELISA法によって比較した結果、MCF7のIR株から分泌されるVEGFの量は親株と比較して1.8倍多かった。それに対して、H1299のIR株では逆に約1/3の減少がみられた。この結果を踏まえ、ニューロピリン1の血管新生との関わりを重点的に評価するために、以降の実験はMCF7のみを用いることとした。次に、IR株が血管内皮細胞の血管新生能を亢進する作用があると考え、正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVECs)を用いた脈管形成能を比較検討した。濃縮培養上清が脈管形成に及ぼす影響を比較した結果、親株とIR株の脈管形成能に有意な差はみられなかった。また、細胞内におけるニューロピリン1の発現量ならびに細胞内局在をウェスタンブロット法ならびに免疫染色法によって比較したが、これらについても親株とIR株の差違を認めることはできなかった。RT-PCR法による遺伝子発現量の比較により、IR株では血管新生を阻害する微量生理活性タンパク質CXCL14遺伝子の発現量が増加していることがわかった。
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Research Products
(1 results)