2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射後の腫瘍細胞の遊走能亢進作用に対するゲフィチニブの抑制効果の検討
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22791168
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 友美 群馬大学, 医学部, 医員 (70511484)
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Keywords | ゲフィチニブ / 放射線 / 遊走能 |
Research Abstract |
培養細胞を用いた実験系において、X線照射により腫瘍細胞の遊走能が亢進する現象が報告されており、放射線治療後の再発や悪性転化の原因の一つとなっている可能性がある。我々はこれまでに、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブがX線照射後の腫瘍細胞の遊走能を抑制することを確認しており、その機序について分子生物学的に検討することで、X線照射が腫瘍細胞の遊走能におよぼす影響を解明する目的で研究を行っている。EGFR遺伝子の異なるヒト非小細胞肺癌由来の細胞株(A549 ; wild type, HCC827 ; mutant type)を、放射線(X線)照射単独群、ゲフィチニブとX線照射併用群をwound healing assayを用いて、遊走能の差を検証した。その結果、A549では照射単独群、照射とゲフィチニブ併用群では、遊走に差は認められなかったが、HCC827では、照射単独で遊走していた細胞が、ゲフィチニブ併用にて遊走を抑制される効果が得られていた。放射線照射線量、薬剤濃度を変化させ、遊走能の亢進や抑制を確認したが、照射線量が高くなることによりある一定までは遊走する距離がおおきくなるが、その後は平坦化していて、線量を上昇して遊走する距離の変化が認められなくなっている。ゲフィチニブ濃度変化では、A549細胞では全く変化はなく、HCC827では高濃度にすることで遊走能は抑えられている事象が確認できた。 上記遊走能の違いに関与すると考えられるシグナル伝達分子をWesternblotを用いて、確認中である。遊走・浸潤を誘導したり、抑制させる原因としてEGFRリン酸化有無、MAPKシグナル伝達系路での蛋白発現の違いをしらべ、ゲフィチニブ併用によりHCC827で優位にEGFRリン酸化の抑制が起こされ、MAPK系のシグナルである、ERK1/2の蛋白発現も、ゲフィチニブ併用にて抑制する効果が確認されていた。
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