Research Abstract |
本年度は神経膠芽腫細胞LN18,LN229,U87にshRNAによりGRP78を特異的にknockdownさせた細胞を用いて,細胞周期変化,照射による2重鎖DNA切断を計測し,GRP78の放射線抵抗性のメカニズムの一部を検証した. はじめに免疫共沈法により,これらの神経膠芽腫細胞においてGRP78とPI3Kp85の結合を測定した.次にレンチウイルスshRNAプラスミドベクター(SIGMA MISSION, USA)を用いたRNA干渉により,GRP78の発現を長期間に抑制できる細胞株を作成した.作成後は,ウェスタンブロットによるGRP78蛋白発現RTqPCRによるmRNAレベルのGRP78も測定し,shRNAプラスミドベクターの5種類の粒子の中で最もノックダウン効果の高いものを使用した. 神経膠芽腫細胞にX線6Gy照射し,コロニー形成法,MTSアッセイにより,これらの細胞株の放射線生存率を測定した。次に,これらの神経膠芽腫株にX線照射後,フローサイトメーターにより照射細胞表面に発現するアネキシンVを計測することでアポトーシス比率を測定した. そして,X線照射による神経膠芽腫細胞の細胞死のパターンおよび強く発現される経路をウェスタンブロットにより同定した.細胞死パターンは細胞の種類によって異なり,アポトーシス・オートファジー・細胞老化のいずれか,またはそれらの組み合わせが誘導された. 続いて神経膠芽腫治療で頻用されるテモゾロミド(TMZ)併用X線照射群を解析に加え,上記手法により放射線増感効果を検証した.LN18においてX線6Gy+TMZ 100nMを加えると,cleaved caspase 7を経由してcleaved caspase 3の強発現を認め,アポトーシスを起こすことが確認された. また,放射線による最も中心的な殺細胞機構はDNA2重鎖切断である.野生株,非特異的抑制株およびGRP78抑制株のDNA2重鎖切断を測定したため,コメットアッセイ,γH2Axアッセイを行った.
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