2011 Fiscal Year Annual Research Report
静注用^<15>O標識薬剤による脳循環代謝測定の迅速化と薬物療法効果判定の有効性の検討
Project/Area Number |
22791180
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 正和 金沢大学, 保健学系, 助教 (30444235)
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Keywords | 脳循環代謝 / 放射線 / 核医学(PET) / 画像解析 / 酸素-15 / 人工赤血球 / 放射性同位元素 / 放射線技術 |
Research Abstract |
今年度は,昨年度の本申請で開発した持続投与法を応用して,酸素-15(^<15>O)標識hemoglobin含有liposome vesicle (^<15>O-HbV)を用いた脳循環代謝測定法を確立し,正常および脳虚血再灌流ラットにおける脳循環代謝測定を行った.また,本法を利用して,市販の麻酔薬を用いた脳保護効果の評価を最終目標とした.昨年度開発した持続投与法を用いて,^<15>O-HbVと^<15>O標識水を正常と脳虚血再灌流ラットにそれぞれ投与した結果,両薬剤とも投与後2分で脳内および血液内の放射能が定常状態に達し,正常ラットにおける脳酸素代謝率は全脳で6.2±0.4mL/min/100gと既に報告されている数値と同等の結果が得られたため,持続投与法を用いた脳循環代謝測定法を確立できた.また,脳虚血再灌流モデルラットにおける脳虚血領域の経時的変化を観察するため,遺伝子測定技術により完全梗塞領域およびペナンブラ領域の正確な判別を目指したが,遺伝子測定結果が思うように安定しなかったため,MRIと免疫染色画像を使用して完全梗塞領域のみを正確に区別したところ,虚血再灌流後1,5,24時間経過後の完全梗塞領域の脳酸素代謝率はそれぞれL2±0.3,1.1±05,0.9±0.5mL/min/100gであった.これらの結果は脳循環代謝研究で権威ある国際雑誌に掲載された(Kobayashi M et al, J Cereb Blood Flow Metab.2012;32(1):33-40).最後に,分子イメージング研究でよく用いられるイソフルラン麻酔の脳保護効果を検討した結果,麻酔時の脳循環代謝測定値が麻酔なしのそれと比較して著しく低下したが,その脳保護効果については更なる研究が必要であった.本研究成果は,様々な脳疾患の病態解明における基礎研究の発展に貢献すると思われる.
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