2010 Fiscal Year Annual Research Report
CEST薬剤内包型アポフェリチンによる高感度MRI造影剤の開発
Project/Area Number |
22791187
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Research Institution | Shimadzu Corporation |
Principal Investigator |
牧野 顕 株式会社 島津製作所, 基盤技術研究所, 研究員 (00566226)
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Keywords | 核磁気共鳴画像 / CEST / アポフェリチン |
Research Abstract |
平成22年度の研究では、(1)平成23年度にMRI造影剤としての評価を行うために必要なCEST薬剤内包型のアポフェリチンMRI造影剤の化学合成、(2)調製したアポフェリチンMRI造影剤の物性評価について検討を行った。 CEST薬剤内包型アポフェリチンMRI造影剤の調製に当たっては、球殻状タンパク質であるアポフェリチンに内包するCEST薬剤となるカチオン性ランタノイド錯体を調製するために必要な4種類のキレーター分子を新たに分子設計し、これらを有機化学手法に従って合成することを達成した。また、合成したキレーター分子を用いてユーロピウム(Eu)錯体を調製し、得られたEu錯体の錯体安定乗数を求めることで、生体内においてもEuが遊離しない安定な錯体を形成していることを確認した。更に1H-NMR装置を用いたZ-スペクトル測定によって、これらのEu錯体がCEST造影剤として使用することが可能であることを確認した。 引き続き、アポフェリチンが外部pH環境に応じて可逆的に球殻状構造を解離⇔集合化する性質を利用し、合成したCEST薬剤をアポフェリチンの内腔に効率よく包含させる条件検討を行った。合成した4種類のEu錯体の内、2種類がアポフェリチン内腔への高い濃縮効果を示し、濃縮効果が起きなかった場合と比べて、最大150倍のCEST薬剤をアポフェリチンに内包させることに成功した。 最後に上記にて調製したCEST薬剤アポフェリチンMRI造影剤を用い、内包したEu錯体が内包前と同様なCEST造影効果を示すかどうか、1H NMR装置でのZ-スペクトル測定を行うことで検討をした。 上記の通り、年度初めに設定した研究目標をほぼ達成した。
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