2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラクトソーム蛍光・PETイメージングにおける癌の描出能改善法の探究
Project/Area Number |
22791192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 研輔 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90531997)
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Keywords | ナノキャリア / ミセル / SPECT / PET / ABC現象 / EPR効果 / 腫瘍イメージング / 内照射療法 |
Research Abstract |
本研究では、がん診断を目的とした名のナノキャリア「ラクトソーム」の開発を目指し、その基盤となるICGラクトソームや^<18>Fや^<131>I標識ラクトソームを用いた癌の描出能に関する研究を行った。特に、ABC(accelerated blood clearance)現象と呼ばれる、20-100nmのナノ粒子特有に見られる2回目投与時における網内系への集積亢進現象に対する回避方法を探求した。その結果、各種標識ラクトソームの合成方法や担癌モデルの確立、小動物PETイメージング条件の確立、biodistributionによる体内動態調査を施行できた。ABC現象の回避方法については、従来の蛍光イメージングによる評価法以外にELISA法による評価方法を確立した他、投与時間を空けることによる減弱、連続投与・大量投与による免疫寛容の惹起、そして従来のAB型とは異なる基本構造を有するA3B型ラクトソームによるABC現象の減弱を確認したが、ABC現象を完全に回避するには至らなかった。 また、現在臨床応用されている腫瘍プローブである^<18>F-FDG-PETや^<67>Gaシンチとの比較を皮下腫瘍移植モデルマウスにて行った。集積機序の異なる^<18>F-FDG-PETに対しては、腫瘍の描出が良好であるとは言えなかったが、^<67>Gaシンチに対しては腫瘍描出が良好に認められた。 さらには、皮下腫瘍移植モデルマウスに対してPEIT後に^<131>I標識ラクトソームを5MBq/匹、尾静注にて投与したところ、有意に腫瘍再増殖を抑制することが示された。今後は診断プローブとしてのみならず、新たな抗癌プローブ、低侵襲ながん治療法開発に発展する可能性が示唆された。
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