2010 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性肝腫瘍の化学塞栓療法における薬剤溶出性高吸水性ポリマーの開発
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22791195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 登 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00506488)
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Keywords | 動脈塞栓術 / 化学塞栓療法 / 薬剤溶出性塞栓物質 / 高吸水性ポリマー / 肝癌 / 抗癌剤 / アンスラサイクリン系 / エピルビシン |
Research Abstract |
治療抵抗性肝腫瘍の化学塞栓療法における標的塞栓性及び薬剤溶出性を兼備えた薬剤溶出性高吸水性ポリマー(DESAP)の開発、適正化を企図した。本年度は、シスプラチン(CDDP)およびエピルビシン(EPIR)を用いて、以下の項目についてin vitroで基礎検討を行った。 1.CDDPの各種溶媒への溶解性及び配合安定性 各種ヨード(I)及びガドリニウム(Gd)造影剤、食塩水5mLにCDDP50mgを懸濁、振とう(25℃,24時間)、ろ過液中のCDDP量を原子吸光光度法で測定した。配合安定性は各種溶液に生食を加え、経時的にCDDP量を測定した。25℃での溶解度は、非イオン性I造影剤2.4-5.2mg/mL、Gd造影剤7.6-10mg/mL、食塩水1.7-1.9mg/mLであった。配合安定性は、24時間後のCDDP残存率がI造影剤85%以上、Gd造影剤20-35%だった。以上より、CDDPの溶解液にはI造影剤を使用するのが適当と思われた。 2.SAPのEPIR溶解液の吸収性及び溶出性 各種I造影剤、生食に溶解させたEPIR溶液(5mg/mL,10mg/mL)1mLを吸収膨潤したSAP(50-100μm径,2mg)の薬剤吸収性及び溶出性、粒径変化について検討した。EPIR濃度はHPLCで計測した。イオン性造影剤使用時、SAPはEPIRを吸収しなかった。それ以外では、EPIR溶液(5mg/mL,10mg/mL)に投入した場合、90分以上で100%、50-80%吸収した。フローの無い環境では8時間まで薬剤溶出濃度は上昇し、それ以降は一定となった。粒径変化は4.6-3.1倍で、非イオン性等浸透圧造影剤及び生食を用いた場合比較的膨潤率が低かった。 以上より、溶媒に非イオン性等浸透圧造影剤及び生食を使用するのが適当と思われた。 今後、更なる基礎検討の継続及び動物実験による検討を予定している。
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Research Products
(1 results)