ダイナミック256列CTを用いた心筋血流絶対値測定の精度の検証

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22791201
• Research Institution: Ehime University
• Principal Investigator: 城戸 輝仁 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50403837)
• Keywords: 心臓 / CT / 心筋血流 / パトラックプロット / 核医学 / MRI

Research Abstract

虚血性心疾患の日本における罹患率、死亡率は上昇傾向にあり、早期診断及び治療が患者の予後及びQOLに大きなメリットになることは一般に認識されている。臨床では心臓核医学検査が心筋虚血評価の第一選択枝となっているが、実際にはその空間分解能、時間分解能の限界により詳細な検討までは困難なのが現状である。十分な空間分解能や時間分解能を有する検査としては、MRI検査やPET検査があげられるが、これらのモダリティーは施設及び装置が限られる点、十分な患者スループットが得られずルーチン検査の位置づけとなりにくい点などが問題としてあがっている。そこで広く普及するCTを用いた心筋血流イメージングを行うために、心筋全体(8cm)の幅をダイナミックスキャンするプロトコールの開発を行った。まずは、(1)心電図同期を行い収縮期にのみパルスX線を照射することにより静止した心筋のダイナミックイメージ収集が可能であること、(2)被曝量を通常のルーチン検査と同等の10mSvに納める事が可能であること、(3)心筋血流を評価するのに必要な造影剤量が50ccであることなどをファントムを用いて検証した。また、これらのプロトコールに沿って臨床例の撮影を実施、初期5例において良好な画像と解析結果を得ることができた。更に解析結果の精度を検討するため、パトラックプロット解析手法の開発修正を行った。ソフトウエアの開発は大阪大学医学部保健学科教室と共同で行い、30心拍のダイナミックデータをより簡便に精度高く解析できるように修正した。さらに、得られたデータの正当性を比較するために、ATP負荷cardiac MRI及び、ATP負荷心筋シンチ検査の結果と比較検討し、良好な一致を認めることができた。
今後はさらに症例数を増やし、最先端核医学検査である半導体検出器を用いた核医学検査との比較を行っていく予定である。